2011.09.04
「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
シンプルに核心を突く!
元々築き上げられたしんちゃんブランドをうまく活かした作品。
しんちゃんという土台があるからこそ、純粋に心に響く。
素直に笑って、素直に感動できる。
お話はアニメのストーリーらしからぬテーマと展開。
20世紀博という万博的なテーマパークが春日部にできて、大人たちは「20世紀の匂い」の懐かしさにどんどんのめりこんでいってしまうのね。
それに対して子供たちはもちろん20世紀の記憶がないから、置いてけぼり。
大人になりたいしんちゃんたちが、地球を20世紀に戻そうとしている組織を倒しにいく。というお話。
これに昭和のノスタルジックな描写や音楽も相まって、なんだかアニメでももっとアート寄りなアニメとか、もっというと実写でもおかしくないんじゃないか?と思ってしまうような世界観。
太陽の塔が出てきたり、あまり詳しくないけど古い型の車がたくさんでてきたり、ウルトラマンやサリーちゃん、青島幸男やシェーなど、20世紀を象徴するキーワードも徹底して散りばめられてる。
こんな大胆なテーマを、こんな繊細な描写でクレヨンしんちゃんに落とし込んでしまうなんて!
そしてしんちゃんだからこそ、説明的すぎず、おしつけがましくもなく、本当に素直にこの映画の伝えたい事がすっと入ってくるんだと思うね。
画面を彩る為の「昭和っぽさ」ではなく、「昭和のあの頃」の感動的なお話を描いたわけでもなく、「時代の懐かしさ」について真正面から描いた、男前な作品。
無駄がそぎ落とされ、本質を掴んだ、シンプルで力強い映画。
こういう誰でもなんとなく心に持っているあやふやな感情を、ごまかさずに掴んで揺さぶれる作品てとても少ないと思います。感動!
過去ってどうしても美化されていくもので、嗅覚っていうのは記憶を急激に呼び起こすんだよね。
突発的に入ってきた匂いで「懐かしい」って思う事は誰でもあると思うけど、当時の空気や気持ちを思い出すことはできても、そっくりそのままその時の自分になることはないから、呼び起こされた記憶が正しいものなのかっていうのはもうわからない。
風間くんが「懐かしいってそんなにいいことなのかなあ?」と劇中で口にするんだけど、わたしは「懐かしい」こと自体がいいことなのではなくて、「ああ懐かしいね」って人生のある期間を共に過ごした誰かと語り合って、そうしてそれぞれ未来へ進んでいく「今」がすてきだと感じます。
こないだ行った岡本太郎美術館の万博の資料で迷子ワッペンていうのを見たんだけど、一緒に行った悠策と映画を観ていて「迷子ワッペンだ!」ってなった感じがまさにそんな感じで、よかったです。
こんなにピンポイントで小さなことだけど、共通の記憶として同じタイミングで呼び起こされたりして、そんなことが嬉しいと思うよね!
「懐かしい」って自分次第で、元気が出ない時の栄養剤になったり、気合いを入れなきゃいけない時の必殺技になったり、前に進まなければいけない時の足枷にもなる。
全てが大切なことは確かだけれど、うまく付き合っていきたいなーと思います。
渡英まであと17日。!。
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クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
director:原恵一
writer:原恵一
cast:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治
country:JAPAN
http://www.amazon.co.jp/映画-クレヨンしんちゃん-嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲-DVD-矢島晶子/dp/B00006K0UK
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