2012-02-10

[FILM]LONDON CINEMA

無職の学生は、なるべく家で映画を観るようにしています。
プロジェクターで真っ白の壁にうつして観てるのでそれなりですが、やっぱり映画は映画館で観るものだよね。
真っ暗な空間で、爆音で観る映画は格別。
そしてその時間をたくさんの人と共有しているかと思うと、それもまたいいよね。
映画はひとりでも楽しめるけど、知ってる人や知らない人と楽しんだ方がずっと心に刻まれる感じがして良いです。
芸術も文化も歴史も人も、それ単体で楽しむよりも、自分にしかできない方法でタイミングで繋げて呑み込む方がずっと楽しい。
ロンドンではそんなに多くの映画館に行ってるわけじゃないけど、良かったな〜と思うのをいくつかご紹介します。


2012/02/03 「The Artist」@Coronet Cinema
ノッティングヒルのコロネシネマは1898年に劇場としてオープンした老舗の映画館です。
駅を出てすぐに目に入る美しい外観は、まさにノッティングヒルの象徴!
1923年に劇場としての働きを終えて、完全に映画館として営業をするようになってからも内装はそのまま残したんだって。

座席の構成も劇場そのまま!もはや映画を観に来たのかなんなのかわかんなくなりそうだよね。
お値段もリーズナブルで、なんと火曜日は£3.5で観れちゃう!
いまは外壁の工事中でばさーっと隠れちゃってるから、写真はオフィシャルサイトから。
雰囲気のある映画館で、訪れるだけでほんのり心が満たされます。
わたしはここで、「The Artist」を観ました。
先日ゴールデングローブ賞をとったモノクロ&サイレントのフランス映画です。
無声映画からトーキーへと時代が移り変わって行く中で、葛藤する無声映画俳優のおはなし。
シンプルで素敵な映画でした。
時代が動いているときってたくさんの興奮や哀愁が入り交じっていて、それだけで美しい。
正直モノクロ&サイレントの目新しさが大分騒がれている要因になっているんじゃないかと思ったけど、クラシカルなスタイルはやっぱ普遍的に人の心をつかむよね。
変化に逆行して残っていくもの、人、スタイルっていうのは相応の理由があるよなと、コロネシネマでモノクロ&サイレントのアーティストに描かれた時代に翻弄される人間を観て思いました。
日本では4月公開だそうです。映画館で観た方がよい映画だとおもいまーす!お時間あればぜひ。


2012/02/09 「Salome」@Southbank Centre Queen Elizabeth Hall
Southbank Centreはテムズ川沿いにある映画やコンサートやダンスや詩など幅広く芸術を扱う複合施設です。
ロンドン初映画で、ロンドン映画祭の作品を観に来たのもここでした。
今度のロケ地もここの管轄の教会で、これからも色々とお世話になりそうな予感。
こんなに大々的な芸術支援施設って日本にあるのかなー。さすがロンドンと思いました。

Salomeは聖書などに登場するパレスチナの領主ヘロデの娘サロメを元にして描いた、1923年のモノクロ&サイレント映画。
今回Southbank Centreでは、この映画に音楽の生演奏をつけて上映していました。
真ん中にスクリーンがあって、四方に楽器スペースが設置されてます。
ドラム、タンバリン、カスタネット、ジャンベ、チベットのシンギングボウルなどの楽器でエキゾチックな感じの音をイケメンたちが奏でます。
劇場に入った瞬間にお香のにおいもして、なんだかすごく五感を刺激される空間でした。
映画自体もアメリカ映画の芸術レベルを向上させたいと美術監督・衣装デザイナーのNatacha Rambovaが手掛けた作品だけあって、モノクロなのに目を引くセットや衣装がすごく印象的。

サロメの頭やばい笑。きらきら。

この衣装すごく綺麗だった!モノクロに映えるよね。

この幅広コートも渋めでよかったです。

最後は孔雀ヘッド!んーーー衣装メインといっても過言ではない!
約90年たった今でも映画そのものに十分見応えがあるし、それに音楽とニオイをつけてやっちゃおうっていうのは素晴らしい心意気だと思います。
戯曲さの残る映画なので、映像に生演奏が付け足されたというよりも、生演奏が映像のナマモノ要素を引き出しているように見えました。

んー贅沢な時間でした。これがなんと£6!
ロンドンアートの一番のすごさはその値段ではないかしらと本気で思う。
それにしても、こんな風に映画を観せてくれるところが当たり前のように存在しているなんて!
五感で作品を楽しむ場所を提供するというのはわたしの夢です。
ロンドンに先を越されつつあります。がんばらな!


2011/10/14 「Shaun of the Dead」@Gallery Cafe
最後はロンドン来たばかりの頃に行ったベスナルグリーンのギャラリーカフェ!
毎月テーマを設けて、毎木曜日に上映会をしています。
10月のテーマはハロウィンで、会場もなんとなくハロウィンな空気。
カフェスペースの奥の扉から外にでて、庭っぽいところを越えてまた扉に入ると会場の教会にたどり着きます。
なんだか秘密基地っぽい感じですでに楽しい。
フリーのポップコーンと、カフェで頼んだホットチョコレートを飲みながら上映開始。
ソファや椅子がランダムに並べられて、周りからたくさん笑い声が聞こえる感じがホームシアターっぽくていい:)
終わったあとには映画のクイズ大会!観てればわかる簡単な問題ばかりだけど、勝ったグループにはシャンパンが!
手作りの登場キャラクターの名札が配られたりして、とてもアットホーム。
こちら名札をつけてポップコーンを食べるあやのさんちのくわみさん。
ロンドン来たばかりでこんなふうに映画を観られてとっても励まされたし、そうそう映画ってこんな感じに観るものよね〜!と思いました。
知らない人たちとだけど、みんなでごろごろ観る映画楽しかったな。
ギャラリーカフェはごはんもおいしいし、一人で長居しやすいので大好きです。
ミニライブみたいなのもやってるみたいだし、映画も毎週やってるし、そのうちまたふらっと行こうと思います。


ロンドンに来て約5ヶ月。
少しずつお気に入りの場所が増えてきていて幸せです。
最近は雪が降ったり積もったり、暗くて寒くて大変だけど。
はやく春になって外でごろごろしたりできるといいなーん。
日本も寒そうだけど。みなさんお元気ですかー?:)

2012-01-07

[TRIP]白川郷・飛騨高山

遅ればせながら、あけましておめでとうございまーす:)
2012年もちょびちょびロンドン映画生活をお送りしていきます。
どーぞよろしく!

冬休みは東京に帰ってました。
あっという間の二週間でしたが、たっぷり充電できました。
会ってくれた人も会えなかった人も会おうとしてくれた人もありがとー!
こころもからだもまんぷくですー。んー太ったッ

たった二週間でしたが、日本を堪能するべく2泊3日の白川郷・飛騨高山旅行へいってきました。
尋常じゃない雪の量で、つまさきがとれるかと思った!
でもここ以上に雪が映える村はないんじゃないかなー
ほんとに美しい雪景色。

2泊3日
しんしんと降り続ける雪の街で、
ため息がでるほど雄大な自然と
素朴で力強い文化や歴史
繊細な建築や家具など飛騨職人の作品たちや
あったか〜〜〜〜〜い温泉!!!と感動続きの食!!!!!たち
大満足!!!な旅行の記録です。


○白川郷○
白川郷は世界遺産の合掌造り集落が有名な、岐阜県のとっても山奥の村です。
雪なんてめったに見ないから、12月だからといってまさかこんな見事な雪景色が見られるなんて思わなかった!
合掌造りの屋根に積もる雪はまさに日本の冬という感じ。まイメージですが笑。


東京から7時間くらい?バスに揺られて白川郷に到着。
バス停を降りてすぐにあるこちらが世界遺産の合掌造り民家を紹介する屋外博物館です。
民家だけじゃなくて水車小屋とか神社とかいろいろあるはずなんだけど、雪が積もりすぎてもうわけわかんない感じになってました笑。
合掌造りは茅葺きの急斜面な屋根が特徴の建物。
屋根の形が掌を合わせてるみたいに見えることから合掌造りというそうです。
民家園の中にある主屋、中野長治郎家ではあったかい囲炉裏を囲んでとち餅ぜんざいとそば茶を頂けます:)
わたしたちの初めての囲炉裏はこちらの長治郎家。あったか〜〜〜〜〜。
思えばこの旅は凍るような寒さから、ぜんざいと囲炉裏に終始助けられる旅でした。


合掌造りの民家の居間には、必ず囲炉裏があります。
囲炉裏から出る煙が柱や梁、茅葺きの屋根をいぶすことによって建物全体を強くするそうです。
合掌造りの屋根の角度は雪が自然に滑り落ちるようにつけていたり、屋根裏に生まれたスペースで養蚕業を営んでいたり。
昔の人の知恵はすごいよね。

宿は合掌造りの大田屋さんに泊まりました。
全部で5部屋しかなくて、部屋には鍵もついてなく、くっそ寒くてこたつに入ってストーブがんがんにしてないと死にそうになるけど、おじいちゃんちみたいで本当に素敵でした:)))
宿のおじいちゃんと超豪華なご飯の写真撮りそびれたのが残念〜〜〜
飛騨牛の陶板焼き、豆腐ステーキ、山菜の天ぷら、朴葉味噌、どぶろく などなど盛りだくさんな超おいしいご飯を他の部屋の方々と囲炉裏を囲みながら頂きました。
男性の方々はおじいちゃんに呼ばれてみんなで白川のお酒を飲み交わしてました。
食事中におじいちゃんが民謡を歌いながら色んな楽器を演奏してくれたり、とっても楽しかったです〜
ちなみにこんな楽器たち。写真撮んなかったから適当に拝借。

秋にはどぶろく祭で演奏されるのかしら!お祭りもみてみたかったなー。
別の部屋に泊まってたイギリスファミリーとアメリカ夫婦も楽しそうに楽器をさわってました。
囲炉裏の周りにこんな風に集まってやいやいやれるなんて、なんて素敵な文化!
白川に行く機会があったら、絶対合掌造りの宿をオススメします:))))
寒い〜〜〜と思ってたら夜おじいちゃんがあったかい湯たんぽをお布団に入れてくれたのもとっても嬉しかったな〜

<朝のおさんぽ>
次の日は早起きして、朝一で荻町城跡展望台という白川を一望できる展望台までお散歩しました。
夜中もしんしんと降り続けたらしい雪に朝日が反射して、とっても綺麗でした〜〜




空気が澄んでておいしい!最高!

<おばあちゃんと藁草履つくり体験>
草履つくりたい〜とゆってたのだけど、初日に行った民家園の体験コーナーは冬休みだったので諦めてたところ、大田屋のおじいちゃんがじば工房のおばあちゃんに電話してくれて、快くおっけいしてもらえました。

じば工房のおばあちゃん

草履づくり、二時間以上かかったよ!めっちゃ大変だった!
70歳過ぎのおばあちゃんが上手に編んでいくのがかわいかった〜〜


素敵な草履ができましたーっ
なちのはほぼおばあちゃんがやってくれたけど笑。
一芸のあるおばあちゃんになりたいなと思いました。
ふか靴っていう藁で編む靴は、もうこのおばあちゃんしかつくれないんだって!すごい!けど、そうやって少しずつ伝統は衰退していくんだなと思い寂しくもなりました。


白川郷散策はこれで終わりです。
短かったなーほとんどの施設が16時〜17時くらいに閉まっちゃうので、あまり色々回れなかったのは残念。
でも自然に囲まれて、おいしい空気とご飯とお酒、やさしいおじいちゃんやおばあちゃんとたくさん触れ合うことができてとっても良かった!
茅葺きの屋根は約30年に一回葺き替えが必要だそう。
一度に約100人が屋根に上り、1日あたり約200人〜300人が作業にあたり、2日間で片面を葺き替えるらしい。
いまはもちろん文化を守っていくという意味合いも強いのだろうけど、昔は村の人たちがただただお互いのおうちを助け合うっていうことでこの重労働を無報酬で行ってきたんだろうね。
とってもあったかい村でした。ありがとう白川郷:)



○飛騨高山○
白川にさよならを告げ、飛騨へバスでいどう。
少しずつ雪がなくなって、飛騨に着いたときにはすっかり白い建物はなくなってました。

<高山陣屋>

高山陣屋は藩主・金森家のお屋敷として使われていて、飛騨高山が江戸幕府に直轄領とされてからはお役所となった立派な建物です。
遠山の金さんがばさーーーーっと脱いじゃう御白洲や茶の間など、とにかく広いお屋敷を全部見られます。
全国に約60ヶ所あった中で、現存する唯一の陣屋だそうです。


高山陣屋の釘隠しは真向兎。
耳が長い兎は、「民の声をしっかりきく」という役所の意志が込められたものなのかも...というのが通説らしい。
お家によって釘隠しのデザインが全然違うのも面白いところです。

陣屋の外には山岡鉄舟の銅像が。
山岡鉄舟は幼少期を高山陣屋で過ごした、後の幕臣です。
直筆の書が蔵にたくさん飾ってあって、立派なことが書いてあるんだけど挿絵がゆるくてかわいいの。
これも写真撮ってないから拝借。

陣屋をみたあとは、古い町並と呼ばれるさんまち通りの方をお散歩したりしながら、夜の飛騨の里へ〜
ここ、まじでシュールだった笑。
立派な合掌造りや水車なんかが見られる野外博物館なんだけど、冬はライトアップされてるらしくてもうなんだかホラー笑。


あこの頃には飛騨にも雪がばっさばっさ降り始めて、あほみたいに寒かったです。
真ん中の池は凍ってたし、水車も凍って動いてなかった!
無料のしいたけ茶を頂きながら歩いたけど、寒すぎるしシュールすぎるし笑ってた記憶しかない笑。

晩ご飯はめっっっっちゃうまい居酒屋侘助で頂きました!
写真撮んなかったけどめっちゃおいしかった〜〜
寒さで全身凍ってたからあったかいご飯が幸せすぎました。
宿でゆっくり温泉に入って、この日はおやすみなさい。

そして次の日の朝起きたら、すっかり一面雪景色でした。

鉄舟もまっしろ。


<宮川朝市>
この日も早起きして、宮川朝市へ。
雪だからかな?思ったより静かだったな〜
朝から甘酒飲んで、食べ歩きして満足!
ここでちょっと飛騨で食べ歩いたおいしいものたちをご紹介。

飛騨牛コロッケ
や、うま〜〜!!!!!これ感動!!!まじでうまい!!!!!
飛騨牛コロッケとメンチカツ合わせて5個は食べたと思います。は〜取り寄せたい。

五平餅
featuring 太郎<3

飛騨牛にぎり寿司
や見た目の通り、やばいす。むしろ一瞬で溶けたので覚えてない。
幻の味。

とち餅ぜんざい
ひたすらぜんざいがうまい。

こんな感じ!ん〜しあわせ〜〜〜

<日下部民藝館>
朝市を歩きつつ、優美な飛騨建築を拝見しに日下部民藝館へ。
飛騨建築の特徴はむき出しの梁組み。吹き抜けの空間を演出する無数の力強い梁が素敵です。

いまでこそ飛騨の匠というのは選ばれた技術者というような印象がありますが、山国の飛騨からは米税が徴収できなかったため、やむをえず使役=建築事業をもって税としたそうです。
税を収めるために建築業務に従事した飛騨の下級労働者たちによって、現在も保存されている多くの飛騨建築は誕生しました。
物事には必ず理由があるんだね。
それにしてもこんな風に歴史がつながって、立派な文化として残っているのはロマン以外の何者でもないよね。
すばらし!!


そのあとも雪の降り続く飛騨の街をお散歩しつつ




国分寺をちらっと拝見しつつ


短い2泊3日の旅を終え、帰路につきました。


一生分の雪を見た気がします。
足冷たくて死んじゃうかも...とか思ったりする度に現れる囲炉裏や、おばあちゃんの入れてくれるお茶やぜんざい、まさかの誰でも入れる足湯!など、寒いからこそ街のあたたかさに触れることのできた旅でした。
日本に帰ったらゆっくり国内を旅したいな。四季のある日本は美しいね。
人生って短い!行きたい場所をいくつ訪れることができるんでしょう。
次はどこへ行こうかなーーと考えてる時間もすでに楽しい:)


素晴らしい時間を過ごすことができ、たっぷり元気を注入したので今年は頑張ります。
今年の抱負は「人生に集中!!」
自分の人生を生きてるのは自分だけなので、だらけずしっかり集中していきたい。というか最近注意力散漫すぎて死にたい。集中!!!
ということで編集作業に戻ります...
みなさま、ことしもよろしくお願いします。

2011-12-04

[FILM]Reign Over Me

2011.12.02
「Reign Over Me」












学校の初課題を制作するにあたり、最近はロケハンに勤しんでおりました。
まったく知らないこの街でぴったりの場所を探すのが本当に大変だ!
ひたすら一人で歩き回って、一人で黙々と写真を撮ってみて、ちょっとな〜って一人で思う。孤独な闘いだ...と冷えきった手をこすりながら思いました。
この街はロンドンも映画も初心者のわたしに、つんと冷たい他人の顔をしてます。ちくしょう。
建ち並ぶ美しい建物たちも、忙しなく走るバスたちも、行き交う多国籍な人々も、まだ自分の描きたいような画に収められる自信は全くありません。ちくしょう。
それでも努力を重ねるしかないので、とにかくやってみます。
自分一人でつくるものなら納得のいくまで何度もやればいいけど、人とつくるものはそうはいかないから不安だよね。
遠慮なくとことん一緒にやれる仲間をこちらでも見つけられるといいなぁ。

いま制作中の課題は「アイデンティティー」がテーマなんです。
その人を包む「街」っていうのはアイデンティティーの大きな一部だと思う。
たくさんロンドンを歩いて、この街がわたしのアイデンティティーと呼べる街になったら素敵な作品がつくれるだろうなと思った。
そうして街を歩いているうちに、帰ったらReign Over Meを絶対観ようって思ったんだよね。

Reign Over Meの中でニューヨークの街は決して活き活きとしているわけではないんだけど、なんだか人と同じだけの時を過ごして、同じように感情がある生きものに見える。
街がただの舞台じゃなくて、苦しむAdam Sandlerと同じ心を持ちながら彼を包み込む、味方に見える。
昼、夜、明け方とスクーターで走るAdam SandlerやDon Cheadleの後ろ姿と街の画は繰り返される度に胸をいっぱいにしていくよね。
主人公のAdam Sandlerが9.11で家族を失った遺族で、ニューヨークは9.11で傷を負った街だということからか。
夜に街の明かりがキラキラ光って人のような温かさを感じるからか。
街がアイデンティティーというよりも彼自身にすら見えるんだよね。

遺族のことを考えたら9.11である必要性がないこの作品にわざわざ9.11をテーマとしてあてがうなんてできるはずがない、というのが割と多い意見らしい。
たしかにただの交通事故でPTSDの主人公は描けたと思うし、見方によっては安い感動モノに簡単に見えるし、引きがいいから9.11をテーマにしたんだろって言ったら言えちゃう作品かもしれないけど。
わたしはこの作品の9.11でならなければなかった理由は「街」にあると思うんだよ。
あそこに描かれているのは、遺族という個々人の再起であり、傷を負った街自体の再起であると思う。
監督がどれだけ考えてああいった街のシーンをたくさん入れたのかはわからないけど、私はそういう風に感じたよ。すごいなって思った。
街を舞台としてたくさん盛り込むことは誰にでもできるけど、街自体に思い入れがあって、この街をこの作品の中でこういう存在にしたい、この街によってこの作品をこういう風に見せたいという意志がないとああいう画は撮れないよ。
そして私はロンドンをそういう風に撮る自信はまだ全くないけど、ここで2年しっかり訓練して技術を身につけたら、東京を撮る自信はロンドンよりもずっとある。そう言えるようになったことが、アイデンティティークライシスの終わりを私は迎えたということだと思う。故郷だとは未だ思えないけど。

自分の話になっちった。
とにかく、私悲しい映画は苦手なんです。悲しみっていうのは一番表現しやすい感情だと思うから、なんとなく安っぽく嘘っぽく見えがち。私はあーはいはいって冷めた目で観ちゃうか、思考が停止してとにかく悲しくて泣くだけになっちゃうから。
Reign Over Meは私が持ってる唯一の悲しい映画です。
悲しいでしょう?って人の感情に訴えかけてくるだけじゃなくて、空間を無駄にすることなくしっかりと意志を持って撮った人間的であり、芸術的な作品だと思う。
主演のAdam Sandlerも素晴らしい。普段コメディばかりの彼が立つだけで、空間が激しく締まる。
音楽もいい。音楽好きには好き嫌いが分かれそうだけど、わたしは特に知らないので映画的には感情をあまり表現しない人物たちの代わりに音楽が叫びになっていてとてもいいと思います。

映画は、まあ3Dはちょっと違うけど所詮平面の作品だから。
舞台を観た時のナマモノな感じはないと思うんです。演者の熱気や音楽の壮大さやその空間のパワーが、波になってお客さんに襲いかかる感じは、やっぱり映画には欠けている部分だと思う。
だからこそReign Over Meを観て、こういう空間の描き方をしたいなと思う。観ている人の中でなにかがしっかり重なって、浸食していくような。意志を込めたい。


あしたは初めての撮影!授業外なので、本当に完全に自分次第。
9:30ビクトリア集合です。まだ寒いだろうなあー。
目が覚める冬の澄んだ空気。朝一は背筋をしゃんと伸ばしてやるか、と腹をくくるのにちょうどいい。んだけど、何時間もその空気に包まれてると芯から冷えて、もうここらでいいんじゃないか?誰もダメって言う人はいないんだから!と妥協し始めるきっかけになります。
うおー冬のロンドン寒い。まだ10度とかだけど、容赦ない10度って感じ。これからどんどん寒くなるかと思うと本当に心折れそう。はやく雪でも降ってくれたらテンション上がるのに。
雨でも雪でも朝でも夜中でも、妥協しそうなわたしのケツを叩いてこれじゃあ納得できないだろ!と一緒につくってくれる仲間が欲しい!あすかちゃーん!あんちゃーん!

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Reign Over Me
director:Mike Binder
writer:Mike Binder
cast:Adam Sandler, Don Cheadle
country:USA
http://www.sonypictures.com/homevideo/reignoverme/
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2011-11-13

RE: 決心

4連休風邪引いて結局一歩も家でなかったわ。明日から学校。
昔のミクシィ(笑)見てたら気合いが入った。忘れないためにこっちにうつしとこ。ミクシィこのままじゃいつ廃業するかわかんないし。
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2010.04.18


ロンドンへ行きます。


昨年末から考えていたけど、ようやく決心が固まった気がするので、書きます。
今は、ロンドンで通う専門学校を探しているところです。
映画の勉強をしたいと思ってます。来年の9月から、二年間。
就職はまだビザの問題なんかもあるので、イギリスで頑張るのか日本に戻るのかは未定です。

たくさんの人にかける迷惑や、たくさんの人と離れる不安や、渡英後の生活、将来の仕事、自分の本当の気持ちと希望、現実的な体力・財力、いろんな事を考えたけど
今行かないともう行かないと思って、決心しました。
そんな決め方は間違っているのかもしれないけど、
自分の生活に疑問を感じていたこのタイミングで父親の転勤が決まったのは運命だと思うし、
20歳過ぎてから本当に時間が経つのが早くて、正直それも怖い。
焦り過ぎかもしれないけど、これ以上様子を見る余裕は今の私にはない。
大好きなヨーロッパで、父親と暮らしながら、映画の勉強をして、自分と向き合う時間を設けるのは必ず自分の力になる。
イギリス・日本で映画の仕事がしたい。と本当に思うようになったら、実現するだけの力と運が私にはあるから、きっと大丈夫。
わくわくどきどきするような事を、ずっとしていたい。
ロンドンに行かなければ、会えない人もたくさんいる。見れないものもたくさんある。
私は、ロンドンに行く!

これで、短かった私の安定した生活はとりあえず終わります。
元気な時は、頑張る!ともちろん思えるけど、そうじゃない時も多分たくさんある。
その度に不安になって、泣いたりするんだと思うけど、私はいつまでもキラキラしていたいんだから、絶対頑張ります。
わくわくどきどき、いつもしていたい!シンプルな事だ!

さー、明日も頑張ります。

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わたしったらこんな風に公言してたんだった!
いまのままじゃ胸を張って帰れません!がんばろーーー!
みんなに見せられるくらいの作品創れるといいな!
よっしゃ!

2011-11-12

[FILM]TEEN FILM

ロンドンで初めて風邪をひいたっぽくて、身体がだるーいのできょうは一日ごろごろしていました。
こっち来てからは日本での忙しい生活が嘘みたいに、時間がたくさんあります。
学校は忙しいけど、オフの日はあまり予定がないので、一人で何かを観たり、読んだり、考えたり、思ったり、そんなのの繰り返しです。それが結構いい感じです。究極の贅沢って感じ。やほんと贅沢です。
でも今日は頭もぽーっとしてたので、そんなのもせず、なんとなーくぽーっとしてました。
そしてぽーっとしながら昔書いたものを色々読んでいたら、十代の自分が支離滅裂すぎて笑えて元気になってきた。
この頃から正直さだけは変わってないなあと思うくらい、きっとその時抱えてた思いとか巡らせていた思考たちをただただぶちまけてる記録たちが本当におかしくて、愛おしかったです笑。

わたしはどんな映画が作りたいかっていうのをはっきり人に説明できるほどまだ固められていないんだけど、若い人に向けた作品を作りたいとずっと思ってるの。
大人は長く生きた分、逃げ道の作り方を知っているし、心の休め方を知ってる。自分のリズムで生活できるし、武器をたくさん持ってると思う。もちろんそうじゃない大人の人もたくさんいるとは思うけど。
これは前にも書いたけど、十代の頃の自分ってすごく不安定だったと思う。
楽しい!最高!って思っていた次の日にああなんてひとりぼっちなんだろうって思ったり。学校で教えてくれることが人生の何に役に立つの?ってよく聞くセリフだけど、17歳や18歳なんて人生の役に立つことがなんなのかは自分で探さなきゃいけないことに気付き始めてる。不安で空っぽな自分を埋めるために友達や彼氏が欲しいと思ったり、そうして周りに優しくしてもらうと、罪悪感とか自分に対する嫌悪感で死にたくなったりする。頑張らなきゃいけないことはわかってんだけど、なにをどう頑張ればいいかはまだわかってない。とりあえず与えられたものをこなすことに必死になって、頑張って疲れて、これ頑張ったらどうなるんだろうって思っちゃって、結果を形として提示されないと続けられない。そんな風に色々考えて、自分だけがみんなと違っておかしいんだって思ったりする。
とにかく何もかもが漠然としてるんだよね。

若者をわたしの映画で救いたい!なんてことは決して思ってないけど笑、漠然とした思考を言葉や画にしてあげたいなとは思う。
この映画がなかったら十代のわたしはダメだったなんて思う映画はないけど、自分が抱えてる気持ちはこういう感じのものなんだろうなとか、なんでかわかんないけどわかるわかるとか、共感することで楽になった映画はあると思うから。一瞬だけでも少し元気になったとか幸せになったとか、そういう映画もある。
映画だけじゃなくて本とか音楽とか場所とか人とか色々、劇的な何かがあったわけじゃないけどそういうのの積み重ねで大人になってきてると思うからさ。
人生を変える作品を!っていうよりも、積み重ねの一層になれる作品を作れたらいいなあ。

ということで、わたしのレイヤーになった大好きなティーン映画をちょろっとご紹介します。

「girl, interrupted」












ティーン映画といったら17歳のカルテ。
精神病院に入院してる女の子たちが、たしかに病気なんだけど自分と何が違うんだろうって思ってた。
アンジェリーナジョリーの鬼気迫る姿に圧倒されるけど、ウィノナライダーの普通な感じも好きですわたしは。
部屋のドア越しに歌うシーンは何度観ても素晴らしいと思う。


「青い春」












しあわせなら手をたたこう!
ぐちゃぐちゃで混沌とした気持ちを静かに表現している映画です。
静かな焦燥感に胸が熱くなります。ミッシェルの曲も相俟って、屋上で叫びたくなる。
若い新井浩文がめちゃくちゃ尖ってて、突き刺さる!


「時をかける少女」












走り出したくなる映画!
爽やかで、恋がしたくなる映画です。
大切なものを素直に大切だと思えるようになる!抱きしめたくなります。


ほんとにちょろっとですが、そんな感じです。
今でも悩んだり、見失いそうになったときは観ます。
あとは魔女の宅急便。
人生にこういう作品があるというのは幸せなことです。
さあー風邪がしんどいので魔女宅観ながら寝ます。
きっと仕切り直して、明日から元気にまた頑張れるはず:)
おやすみなさい。

2011-11-08

[FILM]2 Days in Paris

2011.10.23
「2 Days in Paris」












異文化コミュニケーションはわたしの人生のテーマになりつつあります。
ロンドンは本当に多国籍な国で、毎日いろんな国・文化・宗教の人と話をするのが新鮮。
こういうことを言って甘やかしたくないんだけど、ここで生活をするというだけで意味はあるんだろうなあと思ってしまいます。
繊細で笑、非効率なわたしの脳みそはいちいち驚いたり嬉しくなったり傷ついたり、ほんっとうに忙しいです。

日本が母国だと感じます。
日本を通して、日本人として世界を見ることができて幸せだと思います。
日本人の仕事は繊細で、芯があって、柔軟。
外国に比べて愛国心が稀薄だと思っていたけど、それは公平な目で外を見られるということだとも思う。
国際化という点ではまだまだ国としてのシステム面で足りないところが山ほどあるけれど、いまは能動的に個人が情報を獲得できるのだから、いくらでも外を知って、日本の自分に立ち返ることができるはず。そういう習慣がないが故の稀薄な愛国心というのも事実だから、もちろん環境的にも個人の意識的にももっとうまく循環させることはできると思うけどね。
もっとたくさんの日本人が、日本に誇りを持って、あの国を愛してもいいと思う。というか愛したらいい。欠陥もなにもかも含めて愛するところからなにもかも始まると思うからさ。政治も経済も地震も放射能もぐちゃぐちゃだけど、恋人の嫌いなところを数えてばかりいても仕方がないじゃない。
初めて国家が形成されつつあった頃の日本は、国を良くしていこうという単純明快な欲の元に人が動いていたんだよね。良いものは良いと言って、次々に取り入れていったんだよね。
今は個人の知識も選択肢も果てしなく増えてしまったから統制することが難しいというのはもちろんだけど、せめて国を愛するところに全員が最初の一歩目を揃えてもいいんじゃないかと思う。

なんだか熱くなってしまった。とにかくいい国だよ日本は。大好きだ。
日本食食いたい。


それで、2 Days in Parisを観たわけなんだけど。
アメリカ人の偏屈彼氏とフランス人の彼女が二日間、パリにある彼女の実家で過ごす話。
彼女の実家ってだけでアウェイなのに、家族も友達もみんなフランス語で自由にまくしたてるあの感じはアメリカ人にはかわいそすぎる!
それにしても、あれはとっても脚色しているよね?フランス人はみんなあんなにセックス好きなわけじゃないよね?パパの下ネタ満載アートはひどかった。フランス人はあれをアートとして楽しむの?道を歩きながら路駐にキレて鍵で車に傷を付けながら歩くことは日常的なことじゃないよね?カフェで昔の恋人に会って、いきなりあんな大喧嘩が始まるの?ゲイで妖精な爆弾魔はめったにいないと言ってほしい。タクシー列の前に並ぶ団体客に「ルーブル美術館ならここから歩けますよ。タクシーに乗る方がばかばかしい」と知りもしない道を教えて、早くタクシーに乗ろうとするアメリカ人はいそうだけど。

政治や文化や宗教の話が盛り込まれたテンポの良い会話で展開していくこの映画は、ウディアレンみたいだった。
ウディアレン作品の中身が少し若返って、身近になった感じ。
それにしても、監督・脚本・音楽・編集・主演のJulie Delpyはまだ41歳でしょ?天才なのか?18年後にはわたしも自分の触れている各国の人間や文化をうまく消化して、自分の表現としてアウトプットできるようになるのか?そんな気配がしないけど、そこまでいけたらわたしのロンドン生活は大成功だ。


背筋がぴんと伸びる着物、食卓を囲む「いただきます」、家の中では靴を脱ぐ習慣、上司や先輩を敬うということ、風鈴の音、電車の中で電話をしないモラル、四季があること、クリスマスもバレンタインもとりあえず楽しんじゃうとこ、年の始めも受験も安産もすぐ神様にお祈りしちゃうとこ、こたつの中で足があたる感じ、しっかりと余韻を残す花火。

んーとそんなことじゃなくて。
もっと感覚的な愛おしさを言葉にできたら。しかも英語で伝えられたら。
言葉にできなくても作品にできたら。どれだけいいでしょう。
日々精進。いまはそれしかないですね。


ちなみに11/5はガイフォークスナイトっていうイギリスの国民的なお祭りの日だったんだけど、結構きれいな花火があがってた。
どうせしょぼいんだろと思って馬鹿にしてたことを反省しながら見てたら、クライマックスの盛り上げ方が半端じゃなくて笑ってしまった。ものすごいスピードで次々に花火があがって、音も空の色も火事かと思った笑。
花火はひゅーーーっていう音がいいよね。
火の粉が散ってゆっくり消えていく感じが美しいよね。
横須賀の花火が恋しいなと思った夜でした。

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2 Days in Paris
director:Julie Delpy
writer:Julie Delpy
cast:Julie Delpy, Adam Goldberg
country:France, Germany
http://www.2daysinparisthefilm.com/

観たいと思った映画: Before Sunset
http://www.imdb.com/title/tt0381681/
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