2011-08-18

[BOOK]思いわずらうことなく愉しく生きよ

2011.08.10
「思いわずらうことなく愉しく生きよ」













育子の愛や人生について、ひたすら文字に起こしながら考察するところ。
治子のいちいち大きなリアクションや、一度こうだと思ったら自分自身すらも言いくるめてしまうところ。
麻子の心の弱さと、紙一重の強さ。

女性であれば3人の誰かしらに共感し、さらには全員のなにかしらの要素を自分も持ち合わせているように感じてしまう人も少なくはないんじゃないかな。
江國香織の、やたらとなんでもたらたら形容するところは全然好きになれないけど、女性の描き方の多様性はすごいね。
本を読んでいて自分の男性的な感情が多く引き出されているとき、私はあくまでも第三者として物語に引き込まれて、興奮したり、共感したりしている。
そしてだいたいの本は、まあもちろん自分の好みによる偏ったチョイスは大きな要因だと思うけど、男性的な目で読み進めることが多い。
江國香織の本は、読んでいると自分の女性的な面が多く引き出されていく感じがして落ち着かない。早く読み終わりたいと思う。
なんだか自分自身のことがたらたらと綴られ、公開されている気がして、恥ずかしくなってくる。
それが面白い理由でもあるのかもしれないけど。
三姉妹と家族の話っていうプロットが良かったのかもしれない。
少し忙しい気もするけど、視点が変わることによって気恥ずかしさが軽減されて、一人ひとりのお話というより、家族間のつながりみたいなところに気持ちが向く。

ブランのねえさんたちのお話を聞いてると、読んだことないけど彼女のエッセイは私も耐えられないだろうなと思う。
同じ人の書くものでも、どの作品のどの部分を好きになるかはわからないね。
キャラクターとやっぱりたらたらと形容する文章は好きじゃないけど、「冷静と情熱のあいだ」のイタリアの描写や順正の修復士という仕事、そして帰国子女のアイデンティティクライシス的な気持ちの書き方はすごく好きだし。

ただ映画は二時間で終わるから失敗できるけど、本は長い時間かけて読み進めなければいけないからさ、慎重に選びたくもなるよね。
これからも江國香織を読むかっつーのは微妙なところ。
でもただ、「思いわずらうことなく愉しく生きよ」っていうのは素晴らしい家訓であり、本のタイトルだね!

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思いわずらうことなく愉しく生きよ
writer:江國香織
country:Japan
http://www.amazon.co.jp/思いわずらうことなく愉しく生きよ-江國-香織/dp/4334924352
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