2011.07.30
「elephant」
2:37/Murali K Thalluriを観た。
19歳の監督が撮ったこの映画は、視点の転換や時間の交錯などの表現方法がelephantによく似ていて、とても刹那的で、言葉がトゲのように刺さってくる感じがした。
学校で事件が起こるまでの一日の流れを、登場人物の視点を変えながら追っていくという構成は全く同じ。
同じ時間、別の人物はどこで何をしていたか?というように視点となる人物がかわると、時間軸を戻してみせたり、カメラの位置を変えてみたりと、シーンの展開方法もとても似ている。
似ている点は本当にたくさんあるのに、作品が終わった時の印象の違いはなんだろう。
elephantには説明がない。
観る人によっては唐突だったり、物足りなく感じたりすると思う。
10代の孤独や、漠然とした不安を言葉ではなく、画で表現している。
深い空に流れる暗い雲だったり、広いグラウンドに佇む少女の姿だったり。また、全体を通して学校に人が少ないイメージもある。
事件は突然起こり、理由の説明もないまま終わる。
衝撃で息を止めたまま、エンドロールに入る。
たしか初めて観たのは高校生の時で、わーーーーーーお。と思ってるうちに終わった。
私たちは、彼らの思いや孤独を、想像するしかない。
一つひとつの画や、決して説明的ではない彼らの台詞たちを少しずつ思い起こし、気持ちの整理をしていく。
elephantに限らず、この過程が私はとても好きだと思う。
世界に呑み込まれて興奮した心を、ゆっくりと沈めて映画を消化していく時間は、その映画を自分のモノにしていっている感じがある。
五感を使う映画だったと思う。
2:37の対照的な点は、本編の合間に人物一人ひとりのインタビューを挟みながら、丁寧に言葉で語らせているところ。
素直に話せなかったり、自分でも抱えているこの気持ちがなんなのかわからなかったり、言葉にする事がとにかく苦手な10代の心を、深く理解して、多くの人の心に届きやすいよう、映像化されていると思う。
そしてそれは19歳であり、同じように同級生を亡くしたムラーリにしかできない、とてもシンプルだけど実は一番難しい表現だったんじゃないかと思う。
終わった時のすっきり感は圧倒的にムラーリだった。
作品はどちらも素晴らしかったです。
10代の頃の自分てとても不安定で、人生の事とか死の事とかなんとなくいつも考えていて、
天井がとっても高く思える夜があったり、このまま目的地を通り過ぎてどこかへ行ってしまいたいと思う朝が何度もあったり。
まだ大切な人を大切にできる程、自分に余裕もない。
そんな毎日の積み重ねで、大事件があったわけじゃないけど少しずつ変わって、いつの間にかここまで辿り着いてた。
どんな風に形にできるかはわからないけど、
あの頃のあの感じをこのまま忘れてしまうのは惜しすぎるよね。
------------------------------------------------------------
Elephant
director:Gus Van Sant
writer:Gus Van Sant
country:United States
http://www.imdb.com/title/tt0363589/
2:37
director:Murali K Thalluri
writer:Murali K Thalluri
country:Australia
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7630
------------------------------------------------------------
No comments:
Post a Comment