「L'illusionniste」
映画のことももちろん書いていきたいとは思ってるのです。
今は月10本くらい。
タダで観られてた時代はもちろん良かったけど、
映画館で映画を観る特別な感じを取り戻せた事はとても良かったです。
わざわざ外出して、¥1800かけて映画館で映画を観るのはそれだけで特別なこと。
少しずつ暗くなっていく感じとか、心臓まで響く音、なにより偶然居合わせたお客さんによる劇場の一体感とかは映画館特有だと思う。大好き。
で、「イリュージョニスト」です。
昔すごく好きだった人が「Once~ダブリンの街角で」を"宝石箱のような映画"と言っていて、私はその表現がとっても好きだったんだけど、「イリュージョニスト」はその"宝石箱のような映画"にとっても近かったと思います。
なんの前知識もなく観た私でさえも、時代の移り変わりをただただ静かに眺めるタチの姿が、映画自体をとても繊細なものにしていて、切なすぎてきゅーーーん…となりました。
雰囲気のある無声映画を観ている気分でした。
実際セリフはほとんどないの。言葉の通じない二人のおはなしだからね。
アニメーションでこんな気持ちになれるなんて。
「イリュージョニスト」は故ジャック・タチの残した脚本を、フランスのアニメーション監督シルヴァン・ショメが制作したもの。
本作は彼らの思いや、制作に至る経緯も含めて初めて一つの作品になるように思える。
前作「ベルヴィル・ランデヴー」を制作中だったショメは、映画内でタチの「新のんき大将」の映像を使用する許可を得るため、亡くなったタチの娘ソフィア・タチに会いに行く。
「ベルヴィル・ランデヴー」をとても気に入ったソフィアは、半世紀の間フランス国立映画センターで眠り続けていた父ジャック・タチの映画化されていない脚本「イリュージョニスト」の監督をショメに依頼する。
イリュージョニスト・タチシェフのモデルは脚本家のタチ自身だそう。自伝に近いらしい。
パントマイム師として、脚本家や監督として、生粋の舞台人として生きたタチ。
古典的で使い古された彼の芸が、時代の移り変わりに置いていかれるショウビズと共に風化して、衰退していく様子は本当に切ない。
生前タチがこの脚本を映画化しなかった理由は、あまりにも自身に似ていたから、という事みたい。
そしてソフィアも、父の役を特定の役者に演じられることに抵抗があり、この名作は陽の目を見ることないまま眠り続けた。
ショメのアニメーションという表現方法は、二人の思いを裏切る事なく、特定のイメージに侵されることなく、タチを描く事に成功したんだよね。
絵画を見ているような終始フィックスの引きの画は、タチの人生を象徴する舞台のイメージ。
キャラクターのコミカルなアニメーションは、パントマイムの要素が取り入れられてるのかな。
最後の方のシーンでタチが映画館に入るんだけど、そこで目にするのは「ぼくの伯父さん」という映画で主人公を演じる生前のタチシェフらしい。
作品の世界観を壊すどころか、切なさを助長するような形で随所にショメの、タチシェフへの愛が込められている映画だった。
なんというか、この監督の手にこの脚本が委ねられるのは、運命だったんだと思う。
こんな風に巡り巡って人やモノに出会って、ひとつの作品が完成するなんて、素敵すぎる。
そして全ての作品にはこういったバックグラウンドがあるって事が、何より愛おしいね。
これから先、こんな風に作品をつくる事ができたらいいな。と思います。
そしてもちろん、こんな色んな要素を気にしなくてもアニメーション映画として、誰でも楽しめると思います。
画が本当に綺麗だし、キャラクターもとってもかわいい!うさぎ最高!
そしてそして、ほんとにほんとに切ない。観るなら夜をオススメします。
終わり。
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L'illusionniste
director:SYLVAIN CHOMET
writer:JACQUES TATI
music:SYLVAIN CHOMET(!) ※サントラすごくいいです。
country:France
http://illusionist.jp/
観たいと思った映画:「ベルヴィル・ランデヴー」
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=4892
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追記。
まだ模索中ですが、映画のレビューブログではないのであらすじのご紹介とか評価とかはしなくていいかなーと思っています。
なので本当に唐突だったり、一方的な思いがダラダラと綴られる事もたくさんあると思いますが、んーと、ごめんなさい笑。
まあとにかく適当に細々と長々とやっていきまーす。ヨロシク:)
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