2011.08.20@新宿眼科画廊
「今敏回顧展 千年の土産」
2011年8月24日、一周忌を迎える今敏監督の回顧展。
公開された映画の原画たちや、アニメーターとして活躍する前に描いていた漫画たち、学生時代の作品など、46年間に彼の脳みその中から溢れ出したイメージの欠片たち。
原画展がこんなにもわくわくするのは、あの映画たちが魔法のように突然現れたわけではなく、紙と鉛筆からスタートして、監督の意志と思いが命となって吹き込まれていったことがわかるから。
千年女優のイメージ画は、紙と鉛筆の時点で既に千代子が走り出しそうだ。
東京ゴッドファーザーズはゴミひとつすら丁寧に自らの手で描き上げてる。換気扇やゴミ袋、壊れたキーボードなど画に含まれる全てが、この作品に必要不可欠な要素であることがわかる。
イメージを自分の手で具現化し、制作できる監督は強い。
パーフェクトブルーは初監督作品だけあって、本当に時間をかけている。
コミックガイズ廃刊時に連載していた漫画OPUSの原稿に「正直アニメに集中できると思っちゃったし」的なことが書いてあった通り、本当に集中したんだろう。
DarrenAronovskyがパーフェクトブルーに強い影響を受けた事は有名な話らしい。
Requiem for a Dreamでは今敏へのオマージュとして、風呂場のシーンを真似て撮っているのだそう。
役に食われていく狂気という点ではBlackSwanにも多少影響を与えているのではないかと思う。
46歳という若さで亡くなった彼の作品が、海外でこんなにも高い評価を得ているのは不幸中の幸いというか。
天才は亡くなってから評価されることが多いけど、彼の場合は生前から多くの人に作品を観てもらう機会があって、愛されて、本当にそれだけは良かったと思う。
「夢みる機械」が公開に至ることを、心から願う。
MADHOUSEは今年の頭に日テレの子会社になってしまった。
経営的には随分と前からやばいと言われていたから、REDLINEを観たときによくぞここまでぶっとんだ作品を創ってて生き延びられてたなと思った。子会社化は必然だったんだと思う。
いま、「夢みる機械」の制作の進行度合いはあまり芳しくないらしい。
経営と制作内容のバランスを保つのは大変なことなのだろうけど、それでもこんなに愛されて、惜しまれて、本当に多くの人間が完成を望んでいる作品が、未完のまま葬られてしまうのは間違っていると思う。
「夢みる機械」が作品化されない日本のアニメ界に、未来はないと思うんだよ。
だってこの作品に公開の価値がないのなら、他のどの作品にそれがあるというわけ?と思ってしまう。
原画を見て、改めてこの作品を観てみたいと思った。
やはり、自分の大切にしたいものや人や才能には対価を払うべき。
文化はそういう風に思う一人ひとりの出資で守られていく。
いつも思ってはいるけど、こういう具体的なことがあるとそう強く感じる。
ということでやはり私は渡英前に千年女優を買おうと思う。
それは贅沢じゃなく、必要な出資ナノダ!
「夢みる機械」を劇場で観ることができるよう、心から祈る。
ありがとう、今敏!
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今敏回顧展 千年の土産
2011.08.12〜08.24
新宿眼科画廊 http://www.gankagarou.com/sche.html
http://www.gankagarou.com/sche/201108konsatoshi.html
読みたいと思った本:「ワールドアパートメントホラー」
※大友克人初実写監督作品を今敏が漫画化した作品
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063132412/tamagomagogoh-22/ref=nosim/
気軽に観れちゃう今敏:「オハヨウ」
http://www.youtube.com/watch?v=nLQmfAak4VM
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