2011-12-04

[FILM]Reign Over Me

2011.12.02
「Reign Over Me」












学校の初課題を制作するにあたり、最近はロケハンに勤しんでおりました。
まったく知らないこの街でぴったりの場所を探すのが本当に大変だ!
ひたすら一人で歩き回って、一人で黙々と写真を撮ってみて、ちょっとな〜って一人で思う。孤独な闘いだ...と冷えきった手をこすりながら思いました。
この街はロンドンも映画も初心者のわたしに、つんと冷たい他人の顔をしてます。ちくしょう。
建ち並ぶ美しい建物たちも、忙しなく走るバスたちも、行き交う多国籍な人々も、まだ自分の描きたいような画に収められる自信は全くありません。ちくしょう。
それでも努力を重ねるしかないので、とにかくやってみます。
自分一人でつくるものなら納得のいくまで何度もやればいいけど、人とつくるものはそうはいかないから不安だよね。
遠慮なくとことん一緒にやれる仲間をこちらでも見つけられるといいなぁ。

いま制作中の課題は「アイデンティティー」がテーマなんです。
その人を包む「街」っていうのはアイデンティティーの大きな一部だと思う。
たくさんロンドンを歩いて、この街がわたしのアイデンティティーと呼べる街になったら素敵な作品がつくれるだろうなと思った。
そうして街を歩いているうちに、帰ったらReign Over Meを絶対観ようって思ったんだよね。

Reign Over Meの中でニューヨークの街は決して活き活きとしているわけではないんだけど、なんだか人と同じだけの時を過ごして、同じように感情がある生きものに見える。
街がただの舞台じゃなくて、苦しむAdam Sandlerと同じ心を持ちながら彼を包み込む、味方に見える。
昼、夜、明け方とスクーターで走るAdam SandlerやDon Cheadleの後ろ姿と街の画は繰り返される度に胸をいっぱいにしていくよね。
主人公のAdam Sandlerが9.11で家族を失った遺族で、ニューヨークは9.11で傷を負った街だということからか。
夜に街の明かりがキラキラ光って人のような温かさを感じるからか。
街がアイデンティティーというよりも彼自身にすら見えるんだよね。

遺族のことを考えたら9.11である必要性がないこの作品にわざわざ9.11をテーマとしてあてがうなんてできるはずがない、というのが割と多い意見らしい。
たしかにただの交通事故でPTSDの主人公は描けたと思うし、見方によっては安い感動モノに簡単に見えるし、引きがいいから9.11をテーマにしたんだろって言ったら言えちゃう作品かもしれないけど。
わたしはこの作品の9.11でならなければなかった理由は「街」にあると思うんだよ。
あそこに描かれているのは、遺族という個々人の再起であり、傷を負った街自体の再起であると思う。
監督がどれだけ考えてああいった街のシーンをたくさん入れたのかはわからないけど、私はそういう風に感じたよ。すごいなって思った。
街を舞台としてたくさん盛り込むことは誰にでもできるけど、街自体に思い入れがあって、この街をこの作品の中でこういう存在にしたい、この街によってこの作品をこういう風に見せたいという意志がないとああいう画は撮れないよ。
そして私はロンドンをそういう風に撮る自信はまだ全くないけど、ここで2年しっかり訓練して技術を身につけたら、東京を撮る自信はロンドンよりもずっとある。そう言えるようになったことが、アイデンティティークライシスの終わりを私は迎えたということだと思う。故郷だとは未だ思えないけど。

自分の話になっちった。
とにかく、私悲しい映画は苦手なんです。悲しみっていうのは一番表現しやすい感情だと思うから、なんとなく安っぽく嘘っぽく見えがち。私はあーはいはいって冷めた目で観ちゃうか、思考が停止してとにかく悲しくて泣くだけになっちゃうから。
Reign Over Meは私が持ってる唯一の悲しい映画です。
悲しいでしょう?って人の感情に訴えかけてくるだけじゃなくて、空間を無駄にすることなくしっかりと意志を持って撮った人間的であり、芸術的な作品だと思う。
主演のAdam Sandlerも素晴らしい。普段コメディばかりの彼が立つだけで、空間が激しく締まる。
音楽もいい。音楽好きには好き嫌いが分かれそうだけど、わたしは特に知らないので映画的には感情をあまり表現しない人物たちの代わりに音楽が叫びになっていてとてもいいと思います。

映画は、まあ3Dはちょっと違うけど所詮平面の作品だから。
舞台を観た時のナマモノな感じはないと思うんです。演者の熱気や音楽の壮大さやその空間のパワーが、波になってお客さんに襲いかかる感じは、やっぱり映画には欠けている部分だと思う。
だからこそReign Over Meを観て、こういう空間の描き方をしたいなと思う。観ている人の中でなにかがしっかり重なって、浸食していくような。意志を込めたい。


あしたは初めての撮影!授業外なので、本当に完全に自分次第。
9:30ビクトリア集合です。まだ寒いだろうなあー。
目が覚める冬の澄んだ空気。朝一は背筋をしゃんと伸ばしてやるか、と腹をくくるのにちょうどいい。んだけど、何時間もその空気に包まれてると芯から冷えて、もうここらでいいんじゃないか?誰もダメって言う人はいないんだから!と妥協し始めるきっかけになります。
うおー冬のロンドン寒い。まだ10度とかだけど、容赦ない10度って感じ。これからどんどん寒くなるかと思うと本当に心折れそう。はやく雪でも降ってくれたらテンション上がるのに。
雨でも雪でも朝でも夜中でも、妥協しそうなわたしのケツを叩いてこれじゃあ納得できないだろ!と一緒につくってくれる仲間が欲しい!あすかちゃーん!あんちゃーん!

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Reign Over Me
director:Mike Binder
writer:Mike Binder
cast:Adam Sandler, Don Cheadle
country:USA
http://www.sonypictures.com/homevideo/reignoverme/
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2011-11-13

RE: 決心

4連休風邪引いて結局一歩も家でなかったわ。明日から学校。
昔のミクシィ(笑)見てたら気合いが入った。忘れないためにこっちにうつしとこ。ミクシィこのままじゃいつ廃業するかわかんないし。
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2010.04.18


ロンドンへ行きます。


昨年末から考えていたけど、ようやく決心が固まった気がするので、書きます。
今は、ロンドンで通う専門学校を探しているところです。
映画の勉強をしたいと思ってます。来年の9月から、二年間。
就職はまだビザの問題なんかもあるので、イギリスで頑張るのか日本に戻るのかは未定です。

たくさんの人にかける迷惑や、たくさんの人と離れる不安や、渡英後の生活、将来の仕事、自分の本当の気持ちと希望、現実的な体力・財力、いろんな事を考えたけど
今行かないともう行かないと思って、決心しました。
そんな決め方は間違っているのかもしれないけど、
自分の生活に疑問を感じていたこのタイミングで父親の転勤が決まったのは運命だと思うし、
20歳過ぎてから本当に時間が経つのが早くて、正直それも怖い。
焦り過ぎかもしれないけど、これ以上様子を見る余裕は今の私にはない。
大好きなヨーロッパで、父親と暮らしながら、映画の勉強をして、自分と向き合う時間を設けるのは必ず自分の力になる。
イギリス・日本で映画の仕事がしたい。と本当に思うようになったら、実現するだけの力と運が私にはあるから、きっと大丈夫。
わくわくどきどきするような事を、ずっとしていたい。
ロンドンに行かなければ、会えない人もたくさんいる。見れないものもたくさんある。
私は、ロンドンに行く!

これで、短かった私の安定した生活はとりあえず終わります。
元気な時は、頑張る!ともちろん思えるけど、そうじゃない時も多分たくさんある。
その度に不安になって、泣いたりするんだと思うけど、私はいつまでもキラキラしていたいんだから、絶対頑張ります。
わくわくどきどき、いつもしていたい!シンプルな事だ!

さー、明日も頑張ります。

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わたしったらこんな風に公言してたんだった!
いまのままじゃ胸を張って帰れません!がんばろーーー!
みんなに見せられるくらいの作品創れるといいな!
よっしゃ!

2011-11-12

[FILM]TEEN FILM

ロンドンで初めて風邪をひいたっぽくて、身体がだるーいのできょうは一日ごろごろしていました。
こっち来てからは日本での忙しい生活が嘘みたいに、時間がたくさんあります。
学校は忙しいけど、オフの日はあまり予定がないので、一人で何かを観たり、読んだり、考えたり、思ったり、そんなのの繰り返しです。それが結構いい感じです。究極の贅沢って感じ。やほんと贅沢です。
でも今日は頭もぽーっとしてたので、そんなのもせず、なんとなーくぽーっとしてました。
そしてぽーっとしながら昔書いたものを色々読んでいたら、十代の自分が支離滅裂すぎて笑えて元気になってきた。
この頃から正直さだけは変わってないなあと思うくらい、きっとその時抱えてた思いとか巡らせていた思考たちをただただぶちまけてる記録たちが本当におかしくて、愛おしかったです笑。

わたしはどんな映画が作りたいかっていうのをはっきり人に説明できるほどまだ固められていないんだけど、若い人に向けた作品を作りたいとずっと思ってるの。
大人は長く生きた分、逃げ道の作り方を知っているし、心の休め方を知ってる。自分のリズムで生活できるし、武器をたくさん持ってると思う。もちろんそうじゃない大人の人もたくさんいるとは思うけど。
これは前にも書いたけど、十代の頃の自分ってすごく不安定だったと思う。
楽しい!最高!って思っていた次の日にああなんてひとりぼっちなんだろうって思ったり。学校で教えてくれることが人生の何に役に立つの?ってよく聞くセリフだけど、17歳や18歳なんて人生の役に立つことがなんなのかは自分で探さなきゃいけないことに気付き始めてる。不安で空っぽな自分を埋めるために友達や彼氏が欲しいと思ったり、そうして周りに優しくしてもらうと、罪悪感とか自分に対する嫌悪感で死にたくなったりする。頑張らなきゃいけないことはわかってんだけど、なにをどう頑張ればいいかはまだわかってない。とりあえず与えられたものをこなすことに必死になって、頑張って疲れて、これ頑張ったらどうなるんだろうって思っちゃって、結果を形として提示されないと続けられない。そんな風に色々考えて、自分だけがみんなと違っておかしいんだって思ったりする。
とにかく何もかもが漠然としてるんだよね。

若者をわたしの映画で救いたい!なんてことは決して思ってないけど笑、漠然とした思考を言葉や画にしてあげたいなとは思う。
この映画がなかったら十代のわたしはダメだったなんて思う映画はないけど、自分が抱えてる気持ちはこういう感じのものなんだろうなとか、なんでかわかんないけどわかるわかるとか、共感することで楽になった映画はあると思うから。一瞬だけでも少し元気になったとか幸せになったとか、そういう映画もある。
映画だけじゃなくて本とか音楽とか場所とか人とか色々、劇的な何かがあったわけじゃないけどそういうのの積み重ねで大人になってきてると思うからさ。
人生を変える作品を!っていうよりも、積み重ねの一層になれる作品を作れたらいいなあ。

ということで、わたしのレイヤーになった大好きなティーン映画をちょろっとご紹介します。

「girl, interrupted」












ティーン映画といったら17歳のカルテ。
精神病院に入院してる女の子たちが、たしかに病気なんだけど自分と何が違うんだろうって思ってた。
アンジェリーナジョリーの鬼気迫る姿に圧倒されるけど、ウィノナライダーの普通な感じも好きですわたしは。
部屋のドア越しに歌うシーンは何度観ても素晴らしいと思う。


「青い春」












しあわせなら手をたたこう!
ぐちゃぐちゃで混沌とした気持ちを静かに表現している映画です。
静かな焦燥感に胸が熱くなります。ミッシェルの曲も相俟って、屋上で叫びたくなる。
若い新井浩文がめちゃくちゃ尖ってて、突き刺さる!


「時をかける少女」












走り出したくなる映画!
爽やかで、恋がしたくなる映画です。
大切なものを素直に大切だと思えるようになる!抱きしめたくなります。


ほんとにちょろっとですが、そんな感じです。
今でも悩んだり、見失いそうになったときは観ます。
あとは魔女の宅急便。
人生にこういう作品があるというのは幸せなことです。
さあー風邪がしんどいので魔女宅観ながら寝ます。
きっと仕切り直して、明日から元気にまた頑張れるはず:)
おやすみなさい。

2011-11-08

[FILM]2 Days in Paris

2011.10.23
「2 Days in Paris」












異文化コミュニケーションはわたしの人生のテーマになりつつあります。
ロンドンは本当に多国籍な国で、毎日いろんな国・文化・宗教の人と話をするのが新鮮。
こういうことを言って甘やかしたくないんだけど、ここで生活をするというだけで意味はあるんだろうなあと思ってしまいます。
繊細で笑、非効率なわたしの脳みそはいちいち驚いたり嬉しくなったり傷ついたり、ほんっとうに忙しいです。

日本が母国だと感じます。
日本を通して、日本人として世界を見ることができて幸せだと思います。
日本人の仕事は繊細で、芯があって、柔軟。
外国に比べて愛国心が稀薄だと思っていたけど、それは公平な目で外を見られるということだとも思う。
国際化という点ではまだまだ国としてのシステム面で足りないところが山ほどあるけれど、いまは能動的に個人が情報を獲得できるのだから、いくらでも外を知って、日本の自分に立ち返ることができるはず。そういう習慣がないが故の稀薄な愛国心というのも事実だから、もちろん環境的にも個人の意識的にももっとうまく循環させることはできると思うけどね。
もっとたくさんの日本人が、日本に誇りを持って、あの国を愛してもいいと思う。というか愛したらいい。欠陥もなにもかも含めて愛するところからなにもかも始まると思うからさ。政治も経済も地震も放射能もぐちゃぐちゃだけど、恋人の嫌いなところを数えてばかりいても仕方がないじゃない。
初めて国家が形成されつつあった頃の日本は、国を良くしていこうという単純明快な欲の元に人が動いていたんだよね。良いものは良いと言って、次々に取り入れていったんだよね。
今は個人の知識も選択肢も果てしなく増えてしまったから統制することが難しいというのはもちろんだけど、せめて国を愛するところに全員が最初の一歩目を揃えてもいいんじゃないかと思う。

なんだか熱くなってしまった。とにかくいい国だよ日本は。大好きだ。
日本食食いたい。


それで、2 Days in Parisを観たわけなんだけど。
アメリカ人の偏屈彼氏とフランス人の彼女が二日間、パリにある彼女の実家で過ごす話。
彼女の実家ってだけでアウェイなのに、家族も友達もみんなフランス語で自由にまくしたてるあの感じはアメリカ人にはかわいそすぎる!
それにしても、あれはとっても脚色しているよね?フランス人はみんなあんなにセックス好きなわけじゃないよね?パパの下ネタ満載アートはひどかった。フランス人はあれをアートとして楽しむの?道を歩きながら路駐にキレて鍵で車に傷を付けながら歩くことは日常的なことじゃないよね?カフェで昔の恋人に会って、いきなりあんな大喧嘩が始まるの?ゲイで妖精な爆弾魔はめったにいないと言ってほしい。タクシー列の前に並ぶ団体客に「ルーブル美術館ならここから歩けますよ。タクシーに乗る方がばかばかしい」と知りもしない道を教えて、早くタクシーに乗ろうとするアメリカ人はいそうだけど。

政治や文化や宗教の話が盛り込まれたテンポの良い会話で展開していくこの映画は、ウディアレンみたいだった。
ウディアレン作品の中身が少し若返って、身近になった感じ。
それにしても、監督・脚本・音楽・編集・主演のJulie Delpyはまだ41歳でしょ?天才なのか?18年後にはわたしも自分の触れている各国の人間や文化をうまく消化して、自分の表現としてアウトプットできるようになるのか?そんな気配がしないけど、そこまでいけたらわたしのロンドン生活は大成功だ。


背筋がぴんと伸びる着物、食卓を囲む「いただきます」、家の中では靴を脱ぐ習慣、上司や先輩を敬うということ、風鈴の音、電車の中で電話をしないモラル、四季があること、クリスマスもバレンタインもとりあえず楽しんじゃうとこ、年の始めも受験も安産もすぐ神様にお祈りしちゃうとこ、こたつの中で足があたる感じ、しっかりと余韻を残す花火。

んーとそんなことじゃなくて。
もっと感覚的な愛おしさを言葉にできたら。しかも英語で伝えられたら。
言葉にできなくても作品にできたら。どれだけいいでしょう。
日々精進。いまはそれしかないですね。


ちなみに11/5はガイフォークスナイトっていうイギリスの国民的なお祭りの日だったんだけど、結構きれいな花火があがってた。
どうせしょぼいんだろと思って馬鹿にしてたことを反省しながら見てたら、クライマックスの盛り上げ方が半端じゃなくて笑ってしまった。ものすごいスピードで次々に花火があがって、音も空の色も火事かと思った笑。
花火はひゅーーーっていう音がいいよね。
火の粉が散ってゆっくり消えていく感じが美しいよね。
横須賀の花火が恋しいなと思った夜でした。

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2 Days in Paris
director:Julie Delpy
writer:Julie Delpy
cast:Julie Delpy, Adam Goldberg
country:France, Germany
http://www.2daysinparisthefilm.com/

観たいと思った映画: Before Sunset
http://www.imdb.com/title/tt0381681/
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2011-10-19

[ANIMATION]あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

2011.10.12
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」












「故郷」があるというのはなんて素敵なことなんだろうね。と11話を通してひたすら思った。
中学でも高校でも専門でも一度ずつはアイデンティティークライシスに陥った気がするけど、いつも「故郷」のある人をとてもうらやましく思ってた。大切なものや戻りたい場所ができた今でも、それは変わらない。
無条件に自分を迎え入れてくれる場所といったら幻想を抱きすぎかもしれないけど。色んなところで色んな人と色んな時間を過ごしてきた後に、おまえはよくやってるよって、とりあえずここらへんで休憩しときなよって、そんな風に言ってくれる町や景色があるというのは本当に素敵なことだね。

幼なじみっていいなあ。人生のスタートが同じなんだもんねえ。
どんなにぐれてどんなにひねて、どんな方向にそれぞれ変わっていっても、自分は元々こういう人間だってわかってくれてる人がいるんだもんね。わざわざわかってくれてなくても、自分の持って帰ってきたもの関係なく、寄り添ってくれるんだもんね。
里帰りって、その場所と人の力がこびりついた自分の無駄をそぎ落としてくれるのかな。
夢見過ぎかしら...でもこの人とこの景色と空気でできたこの空間が、私の原点なんだよと私も言ってみたい。

いくつかの場所に住んで、本当にたくさんの場所を訪れて、色んな文化を知って、人と触れ合って、そういうふうに過ごしてきた人生はとても良かったと思うし、いまの自分はこの過程を辿ってきたから形成されたのだと言えるけど、自分の子供には「故郷」をあげたい。
頑張ってる子供を迎え入れてくれる町をあげたいと思うね。

まあ実際このアニメの舞台が秩父と飯能で、まさに私の実家なので十分「故郷」的な目線で楽しみはしたんだけどね!
学校まで二時間かかってたし、すぐ動物とぶつかって電車が止まるし、地震のときは5日間も帰れなかったけど、いいところですよ。不自由さがほんとにイライラするときはイライラするけど、それがまあ愛おしいよね。

「故郷」のないことが住む土地にすぐ愛着を持ってしまう習性につながってんのかなーと思う。
浜田山も大崎も蒲田も大塚も、それぞれに好きなコンビニがあって、好きな道があって、好きな時間がある。
どの町も、私は今このタイミングでこの町に住むべきだったんだ!といつも思っちゃう。そしてどの町もきっといつ訪れてもわたしを温かく迎え入れてくれるんだろうなと勝手に思っている。
この二年間でロンドンも私にとってそういう存在になってくれるといいな。


ああの花はエンディングがとっても好きでした。
3日くらいでまとめて観たけど、一度もエンディングとばさなかった。
ベタな演出だけど、最後のコーラスで女の子三人の後ろを降ってる白い花たちが彩られて昇華していくところが大好き。
お話っていうよりも細かいところにセンスの感じられるアニメだったなーと思います。

なんだかもう既に日本語が下手になってきてる気がする!
誰か日本語で私としゃべってください。

それではーおはよう東京、おやすみロンドン:)

2011-10-15

[FILM]百万円と苦虫女

2011.10.14
「百万円と苦虫女」

2008年7月公開の映画。
当時の私はシネマ2で働いていて、無料で映画を観られる最高の環境にいながらも長引く就活にもんもんしたりいがいがしたり、映画を観ることを抑制していたり、映画を観る気分になりづらかったりしてた。
就活前までは月30本観てたけど、この頃は月2,3本がいいとこ...ということで、見逃した約150本の映画のうちの一つが「百万円と苦虫女」です。

私は現実逃避するのが多分苦手で、追いつめられるとどう足掻いても逃げられなくて、とことん考えたり、話したり、書いたりってして解消していく方が向いているみたい。と最近気がついた。
きっと映画を観るにしても、全然関係ない映画を観て現実を忘れるっていうより、なんとなく自分や自分の周りを連想するようなものを観て、思考を巡らすきっかけにしてあげた方が自分にも映画にも良いっぽい。観ないのも良くない。
ということを考えると、この映画は人生の岐路に立たされ途方に暮れていた、就活中のあの頃に観るべき映画だったかも。
「いや、むしろ探したくないんです。どうやったって、自分の行動で自分は生きていくしかないんですから。探さなくたって、嫌でもここにいますから。」自分探し?と聞かれた蒼井優がそう答える。
自分を探しまくってたあの頃の私がこのセリフを聞いたら、探すのを一旦やめて立ち止まったかもしれん。
まあ今も探してないわけじゃないけど、大切な人や場所があることはとてもわかっているし、必要なのは覚悟だなと一貫して思うようになった。
それが正しいのかはまだわからないし、なにかを後悔しているようなことは一切ないから、まぁ結果どうでもいいんですけどね!

言いたいのは、どのタイミングでどの作品に出会うかは重要だなということ。
それは人生っていう長い単位でもそうだし、その日の気分だったり、その後会う人だったり、そういう小さなことでもそうだね。
自分に合った最高のタイミングで、最高の作品を観ていきたいなーと思うわ。
そしてほんとのほんとの将来は、映画や本や舞台やダンスや名前もないような表現の作品を、私の力で最高の作品だと思ってもらえるように人々に送り出したいなーと思うね。そしてそれが自分の作品だったらなお最高。
なんか夜だし、一日家にいて色々考えているからこんなところでしゃべりすぎている感は否めないけど、ま今日はいっか!


あでもフジファブリックのPV→髑髏城の七人の天魔王→モテキの藤本→百万円と苦虫女の中島くん という流れでこのタイミングだからこそ、森山未來にめっちゃときめいたってのもある!
きっとこれを最初に観ていたり、フィッシュストーリーのあとにこれを観ていたりしたら、森山未來には全然見向きもしなかったでしょう。蒼井優かわいーなーで終わっていたでしょう。
だから、やっぱり今このタイミングにこれで良かったんだ!
はあーん。キテます、森山未來。
ときめける相手がいるというのは、幸せなことだ!

そして私はこの作品を結構なめてました!
どうせだらだらやってほわ〜んとぼわ〜っとして終わりだろって思ってましたが、思ったよりとっても簡潔で、テンポが良くて、役者もよく見えたし、大切なことが説明的じゃなく伝わってきたし、おまけにしっかりきゅんきゅんもさせてもらったし、良い映画でした!
と映画の感想っぽいことも言ってみる!
それじゃあ寝ます。おはようトウキョウ、おやすみロンドン。

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百万円と苦虫女
director:タナダユキ
writer:タナダユキ
cast:蒼井優、森山未來、齋藤隆成
country:日本
http://blog.t-basic.com/nigamushi/comment/

観たいと思った映画:「モル」
http://pff.jp/moru/main.html
タナダユキの初監督作品。
でもこの人、さくらんの脚本はくそだったよね...。
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2011-10-10

MIOinLONDON

MIOinLONDON! 11/10/05-10:)

壊れたコロコロを抱えて、美音はお昼の便で東京へ帰っていきました。
美音と5日間歩きまわったことによって、わたしはこの街をなんだか好きになれそうな気がしてきたよ。
ロンドンは、シチリア帰りの真っ黒でベトナム人みたいな美音のことも、まだまだこの街で浮いている純ジャパニーズのわたしのことも、広い心で受け止めてくれました。
結構いい街やもしれないと思い始めました。懐の深い街、ロンドン。

5日間たくさんの所に行ったので、忘れないうちに書き留めておきます。
とても長くなると思うので、気になるところだけ読んで頂いても、写真だけ見て頂いても、閉じて頂いても大丈夫です。


<HORSE GUARDS>
Whitehallで毎日行われている騎兵の交代式を見に行きました。
Whitehallは昔、英国陸軍の本部でもあった立派な建物です。来年開催されるロンドンオリンピックではビーチバレーの会場になるそうな。なんか固そう。臭そう笑。
騎兵ってフランスとかドイツが強いのだと思っていたけれど、イギリスも相当強いらしい。ロンドンの町中もなにかと馬の装飾が多い。
イギリス騎兵はクリミア戦争ではコサック騎兵を撃墜しているし、ウォータルー会戦ではナポレオン軍を倒してる。
競馬も貴族のスポーツとして古くから人気があるし、「サラブレッド」っていうのは元々イギリスとアラビアの馬を交配して品種改良した競走馬のことを指すらしい。
とにかく馬はイギリスの文化にとても古くから根付いているということみたいです。
Whitehallではイギリスで最も古いLifeGuardsと呼ばれる騎兵隊と、アン王女が連隊長を務めるBlues and Royalsと呼ばれる騎兵隊が主に警衛しているみたい。
それぞれユニフォームが違ったりして、華やかで素敵です。
全然関係ないけどアン王女って乗馬でヨーロッパ1位になって、オリンピックにイギリス代表として出たりするくらい馬の扱いがお上手らしいよ。やんちゃな王女様だね。
もふもふを敷いて座っているだけの衛兵はいいけど、ずっと直立不動で待たされる馬たちは少しかわいそうだった。
バッキンガム宮殿で行われている普通の衛兵交代は見たことないんだけど、こっちの方が派手で見応えはありそう。オススメです。

<COTSWOLDS>
二日目はロンドンからバスで二時間、北の田舎コッツウォルズへ遠足してきました。
羊の歩く丘が延々と続く丘陵地帯に点在する小さな村を総称してコッツウォルズと呼びます。
黄色いライムストーンで建てられた家が並ぶ美しい町並みと、小さく流れる川やストーンを彩るお花たちがとても素敵な村たちです。
今回はBurford, Bibury, Bourton on the Water, Broadwayと4つの村をまわりました。
どの村もミニチュアなんじゃないかと思うくらいちょこんとしていて、静かで、がっつり日本のツアーバスで回っておいてなんだけど、観光客が邪魔をしていいような村じゃないなと思いました。


Bourton on the Waterは小さなベネチアと呼ばれているくらい、水辺の美しい村です。
コッツウォルズの中では人口も多く、少し大きめのところ。
Model VillageというBourton on the Waterを1/9のミニチュアで展示しているところがかわいいです:)

看板や橋など、とっても細かいところまで再現されてます。教会からは賛美歌の音が聞こえます。
煙突を覗き込んでる美音はとってもいじわるにみえる!

Motor Museumという古い車とバイクとおもちゃが所狭しと並ぶ博物館にも行きました。
1959年からマイクキャバリーさんが集めたコレクションが惜しげもなく公開されてる手作り博物館です。
絶対趣味でしょと思うくらいなんでもありな展示物たち。
きっとどれもとっても大切なものなんだろうねと見ていてほっこりします。



Bourton on the Waterでは初のAfternoon Teaをいただきました!
あったかいスコーンと紅茶がとーーーってもおいしかった!
しかし、こんなの毎日食ってたら太って即死だと思います!
まだ二週間しか経ってないけど、イギリスはやっぱり紅茶にとっても誇りを持っている印象。
紅茶の種類はもちろん、パッケージや茶器など本当に凝ったつくりのものがたくさん。
ロンドンブリッジの近くにはMuseum of Tea&Coffeeという博物館もあります。ぜひ行ってみたい:)



Broadwayという北の方にある村ではライムストーンが少しオレンジっぽくてとても良かった。
地域によって少しずつ色が違うみたい。
どの建物も17,18世紀につくられたもので、時間の経過によっても色が結構違うね。
おじさんたちが手作業でライムストーンを積み上げているところも偶然目撃した。
ああやって一つひとつのストーンが手作業で積まれたものだと思うと、とても歴史を感じるね。
雨が降ったりやんだりのとてもイギリス的な天気だったけど、行ってよかったコッツウォルズ!
ツアーガイドのおばさんが片桐はいりにそっくりで、とても日本語の説明がへたで、それだけが本当にくそだったけどそれもまた思い出。

<BOROUGH MARKET>
Tate Modernの近くにあるBorough Marketは食のマーケットで、マーケット天国のロンドンでもわたしの中では今のところ一番良いマーケットでした!
食事がまずい街として有名なロンドンですが、最近Jamie Oliverのおかげで食ブームが来ているらしい。
ブームさえ来ればこんなにたくさんの民族が集まる街はないし、お金もあるし、場所もあるし、そりゃおいしいものも集まるよね!ってくらいこの5日間はおいしいものしか食べませんでした。
Borough Marketには本当にたくさんの野菜、フルーツ、デリ、スイーツ、パン、スパイスなどなどがあり、ロンドンの食通はここに集まるのねって感じ!
チョリソーバーガー激うま!
クランブルケーキとチーズケーキも買って帰ったけど、鬼うまでした!
何十種類も並べられたオリーブや、身体に悪そうな色のカップケーキたち、木の幹ごと抱えて帰るきのこの栽培セット、どれもこれも気になるものばかり!
毎週やっているそうなので、わたしはきっと近々また訪れるでしょう。
ごはんがおいしいってそれだけで幸せだよね:)

<MUSICAL:THE WIZARD OF OZ>
ミュージカルはオズの魔法使いを観ました!
シドニーで観たライオンキングも、前にロンドンで観たシカゴも、パフォーマンスで勝負!って感じでおもしろかったけど、舞台装置や派手な演出は日本だなーと思ってた。
が、オズの魔法使いは演出がすごすぎて!そんな風に思っててごめんなさい!!って感じでした。
舞台はぐるんぐるん回るし、スクリーンに台風が現れて舞台が荒らされたり、照明が客席を巻き込んで目が回ったり、雪が降ってきたり、魔女が降ってきたり、空飛ぶ猿が降ってきたり、衣装はとってもかわいいし、やほんとなめてた!
ここでは色々と興奮したものたちを見せられないのが残念。
英語がわからなくても絶対楽しめるので、ほんとオススメします!
有名な演目は歌も知ってるものが多いだろうからもちろん楽しいだろうけど、ここまで演出が派手なものがあるのかしら。
2年間で色々見比べたいと思います。
一番安い席は3000円程度。芸術を誰でも楽しめるというのがロンドンのとてもいいところだと思います。
美術館や博物館は無料の所がとても多いし、皇族の所有する建物は入場料の高いところが多いけど補修工事などに役立てているそうです。
文化を守って、少しでも芸術を楽しめるようにという配慮がされている気がします。いいね、ロンドン!


そんな感じで、美音との楽しい5日間は終わりました。
ようやく現地で勉強する人としての生活が始まっていたのだけど、美音と一緒にすっかり観光客気分になってしまったわたし。
まだ慣れてもいない留学生活に戻れるのか本当に不安だけど、この街を少しでも好きになれたことがとても良かったです。
わたしたちは世界中に散り散りになっていくけれど、こうして色んな街の色んな文化を人よりも多く楽しめる機会があるんだということは本当に幸せなこと!
会いたいと思ったらいつでも会いにいけるよう、しっかり稼げる女になります。
ありがとう美音!次は東京かロンドンかマドリッドかローマで!
またあーなたにーあーえるのをー楽しみにー待ってーサヨナラー♪
SEE YOU SOOOOOOON!

2011-09-30

so, london

東京を、25日に発ちました。
ロンドン5日目。記念すべき初ロンドン日記。
曇りが多い事で有名なロンドンは、いまのところ気持ち悪いほどよく晴れ渡っています。
あったかくてきもちー。というか暑い。夏だなこりゃ。

飛行機で約13時間。東京から遠く離れた街です。
旅路は結構すぐでした。映画いろいろ観ました。
REDLINEをご用意いただいたJALに惚れた。
センス良し。2回観た。大好き!
フライト自体は早く着いたけど、アラブ系のフライトと入国審査がかぶって鬼混み。
学生用の記入用紙を列のど真ん中で座り込んでゆっくり書くアラブ人。
詰めても進むスピードは変わらんし。と傍観する日本人。(わたし)。
すぐにイライラしはじめて、私越しにアラブ人に文句を言い始める韓国人。
世界の縮図や。と思った。

日本へ出張の父と空港で5分程度話し、諸々受け取る。
部下の西島さん(笑)におうちまで送ってもらって、わたしのロンドンライフは始まりました。
父が生活しているはずのこの家は、生活感がなく、殺風景で寂しい感じ。
小学生の時にドイツに引っ越した最初の夜を思い出した。
簡素なご飯を食べて、真新しいカバーのベッドに入って眠りにつく、あの居心地の悪い感じ。
でもここにはあの時と違い、自分の意志で来たので。
深呼吸をして、毅然とした態度で眠る。


一日目はBethnalGreenに住むAYANO FUKUOKAと、おともだちのKWAMEとランチ:)
当然、FISH&CHIPSを食べる。イギリスだもの!
KwameにとってもおいしいFISH&CHIPSのお店に連れてってもらえて、大満足。


二日目はノッティンガムでお洋服を作っていたゆりとデート。
Shoreditchという静かでおしゃれな街へ連れてってもらった。
BethnalGreenとも近いけど、Shoreditchは落ち着いた街というイメージ。
日本でも静かなところが好きだったし、平日のShoreditchはかなり好きかも。
おしゃれな靴やさんのおばさんとお話したり、Wait&Labourというハウスグッズのお店でかわいいミルクパンを買ったり、なんかとてもゆったりした午後を過ごせて本当に良かった。
Shoreditchのお店は鍵がかかってて、ベルを鳴らしてわざわざ開けてもらう。
こんにちはってドアを開けてもらうと、ともだちんちに来た気分になる。
いつも思うけど、外国ではお店に入るときhelloと声をかけられる。お客さんも絶対helloって返す。
日本ではいらっしゃいませと言われるから、はいいらっしゃいました〜って気分になって返事をしない。
スタートラインが違うよね。

お散歩しながらかわいいお店で日本のみんなに送るカードを買ったり、一年間の近況報告をしていたりしたらWhiteChapelGalleryというところにたどり着いた。
真っ青な空に綺麗な色のレンガと白い門が映える、無料のアートギャラリー。
歩いててギャラリーにたどり着いちゃうのがロンドンぽいよね、とか思ったlol
そういえば昨日いったV&A Museumもフリーだった。あんな美術館が無料ってすごいね。日本じゃないな。
JosiahMcElhenyという人の映像インスタレーションが美しかった。
鏡を使ってパターンを反射させて、空間をつくってるの。
日本で観た小谷元彦の幽体の知覚を思い出した。
延々と続く同じパターンに、吸い込まれそうになる。
触れられたり、中に入れたり、とにかく視覚や聴覚以外の五感をいかに刺激するかがアートの醍醐味だなとよく思う。
そして言葉が通じないところでも、アートは世界共通だなと思う。
ちなみにここのGalleryのカフェはとってもおいしかった。
ロンドンでおいしいごはんにありつけるなんて、奇跡。


イギリスで一年間の勉強を終えたゆりの話を聞いて、とても勇気づけられた。
きっとこれからの二年間は東京とは離れた、ふわふわした時間になると思う。
それを終えた時に、過ごした二年をどう自分のこれから歩いていかなきゃいけない人生にうまく繋げていけるかが最重要事項なわけで...実際そこが曖昧な人をたくさん見てきた事が、この漠然とした不安を助長している。
ゆりの帰国後の話はとてもキラキラしていて、こんな風になれたら素敵だなと思った。
ありがとーゆり。もっと一緒にロンドンを堪能したかった!
wish you all the best xx
だらだらとただの記録になってしまいましたが、まあゆっくりとこんな感じにロンドン生活は幕を開けました。
だらけたらいくらでもだらけられそうで怖い。
私だらけるのほんと得意だから。
気を張らずに、うまーくやってけるといいなーなんて思います。
日本にいる大事な人たちに恥じない二年間にできるよう、頑張ります。
みんなと離れた二年間が、お互いに素敵なものになりますように!

2011-09-08

[FILM]クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

2011.09.04
「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」

シンプルに核心を突く!
元々築き上げられたしんちゃんブランドをうまく活かした作品。
しんちゃんという土台があるからこそ、純粋に心に響く。
素直に笑って、素直に感動できる。

お話はアニメのストーリーらしからぬテーマと展開。
20世紀博という万博的なテーマパークが春日部にできて、大人たちは「20世紀の匂い」の懐かしさにどんどんのめりこんでいってしまうのね。
それに対して子供たちはもちろん20世紀の記憶がないから、置いてけぼり。
大人になりたいしんちゃんたちが、地球を20世紀に戻そうとしている組織を倒しにいく。というお話。
これに昭和のノスタルジックな描写や音楽も相まって、なんだかアニメでももっとアート寄りなアニメとか、もっというと実写でもおかしくないんじゃないか?と思ってしまうような世界観。
太陽の塔が出てきたり、あまり詳しくないけど古い型の車がたくさんでてきたり、ウルトラマンやサリーちゃん、青島幸男やシェーなど、20世紀を象徴するキーワードも徹底して散りばめられてる。
こんな大胆なテーマを、こんな繊細な描写でクレヨンしんちゃんに落とし込んでしまうなんて!
そしてしんちゃんだからこそ、説明的すぎず、おしつけがましくもなく、本当に素直にこの映画の伝えたい事がすっと入ってくるんだと思うね。
画面を彩る為の「昭和っぽさ」ではなく、「昭和のあの頃」の感動的なお話を描いたわけでもなく、「時代の懐かしさ」について真正面から描いた、男前な作品。
無駄がそぎ落とされ、本質を掴んだ、シンプルで力強い映画。
こういう誰でもなんとなく心に持っているあやふやな感情を、ごまかさずに掴んで揺さぶれる作品てとても少ないと思います。感動!

過去ってどうしても美化されていくもので、嗅覚っていうのは記憶を急激に呼び起こすんだよね。
突発的に入ってきた匂いで「懐かしい」って思う事は誰でもあると思うけど、当時の空気や気持ちを思い出すことはできても、そっくりそのままその時の自分になることはないから、呼び起こされた記憶が正しいものなのかっていうのはもうわからない。
風間くんが「懐かしいってそんなにいいことなのかなあ?」と劇中で口にするんだけど、わたしは「懐かしい」こと自体がいいことなのではなくて、「ああ懐かしいね」って人生のある期間を共に過ごした誰かと語り合って、そうしてそれぞれ未来へ進んでいく「今」がすてきだと感じます。
こないだ行った岡本太郎美術館の万博の資料で迷子ワッペンていうのを見たんだけど、一緒に行った悠策と映画を観ていて「迷子ワッペンだ!」ってなった感じがまさにそんな感じで、よかったです。
こんなにピンポイントで小さなことだけど、共通の記憶として同じタイミングで呼び起こされたりして、そんなことが嬉しいと思うよね!

「懐かしい」って自分次第で、元気が出ない時の栄養剤になったり、気合いを入れなきゃいけない時の必殺技になったり、前に進まなければいけない時の足枷にもなる。
全てが大切なことは確かだけれど、うまく付き合っていきたいなーと思います。
渡英まであと17日。!。

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クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
director:原恵一
writer:原恵一
cast:矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治
country:JAPAN
http://www.amazon.co.jp/映画-クレヨンしんちゃん-嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲-DVD-矢島晶子/dp/B00006K0UK
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2011-09-02

[MUSEUM]川崎市岡本太郎美術館

2011.08.28
「川崎市岡本太郎美術館」

川崎市岡本太郎美術館は、他の太郎施設よりもご両親の資料が充実していてとても良かった。
太郎の素敵なところは、絶対的なアーティストでありながら併せ持った、その人間臭さにあると思う。
作品を創る時おそらく太郎は一人なのだろうけれども、彼の人生には常に誰かがいる。
同じく芸術家のご両親であったり、彼の死後も彼の芸術家としての活動を支える敏子であったり、ピカソであったり、花田清輝であったり、誰かしらが存在する。
彼はいつでも作品に対する反応を求めている。
人間ありきの作品創りを生涯貫き通した、彼の貪欲なまでの自己と他者に対する探求心が、結局そういうことだよなといつも思わせてくれる気がする。


なんでこんなに圧倒的な人が存在するんだろう!と岡本太郎作品に対峙する度に思ってしまう。
この人の作品は、言葉は、他の何にも似つかない圧倒的な力で私の脳みそをこじ開け、心臓で爆発する。
私はまだ若輩者の23歳で、自分は何者かになれる気がしている。
だけど、この人から言葉やイメージを投げ掛けられる度に、ひたすら自分の小ささが恥ずかしくて、いたたまれなくなる。
彼を見て、悔しいと思えるまであとどのくらいかかるのでしょう。
対等とまではいかなくとも、彼の投げ掛けに対して一人間として何かしら呼応できるまでになりたい。



2011-08-26

[TRIP]猿島

三笠公園からフェリーで10分。
要塞の島「猿島」にもお邪魔してきました。
三笠甲板から見た猿島


猿島はなんだか無理やりBBQや海水浴のできるレジャースポットとして最近は売りだしているみたいだけど、少し奥に入るととっても静かで、お散歩し甲斐のある島です。
幕末からWWⅡ前までは、東京湾の首都防衛拠点として、台場や弾薬庫がつくられました。
全ての施設が岸壁を掘り込んで作られているそうで、外から攻めうる敵の船からは全くの無人島に見えるようになっているらしい。
道が入り組んでいて、木が生い茂っていて、確かに外界から遮断された感じがします。

弾薬庫など、なんかそれっぽい穴は全部封鎖されていて中には入れませんでした。
井戸と同じ様な構造になっていて、弾薬は真上に設置された砲台へ縦に運搬されたそう。

トンネルは真っ暗。
足元は湿っていて、壁にはよく見るとでっかい蜘蛛がたくさん。要塞っぽい!


調べてみると、どうやら猿島はショッカーのアジトとして仮面ライダーに登場しているらしい。
ゲルショッカー結成式が行われた展望台なんかもあったみたいだけど、知らなかったので思いっきりスル―してしまった。
仮面ライダーフリークにとっては行っとかなきゃ的なスポットみたい。


たくさんの技術や工夫が施されたこの要塞は、
関東大震災で石垣が崩れ、通路や兵舎が埋まってしまったり、
飛行機や長距離砲の技術が発達したことによって、結局実戦で使われることはなかったらしい。
砲台跡にそびえたつ太い樹木が、急速な時代の変化と、その変化に取り残されたこの島を象徴しているようですね。



要塞っていう響きがもうしびれるよね。
アルジェリアのムザブの谷に行きたくてたまらない。
谷間に出来た要塞都市ですよ。ロマンだなあ。