2012-12-11

[FILM]希望の国

希望の国を観た。
この国に本当に希望なんてあるのか。
「一歩、一歩、」一歩どこへ向かえばいいのか。
絶望が果てしなく広がって、「愛があるから大丈夫」なんて思えなくなってしまった。
園子温はこの映画を見終わった日本人の心に何を残したかったのだろう。
直接的なエロさもグロさもないけど、希望の国は園子温作品の中で最も残酷に心を抉る作品だった。


更地を包み込むように積もる美しい雪がそこで起こった悲劇を覆い隠そうとしているようだと思った。
そのすぐ後に「いつまでもへこんでいても仕方ない!前を向いていきましょう!」という押し付けがましいセールスのようなトーンで根拠のない希望をまくしたてるキャスターのシーンを見て、現実で静かに確実に進行している問題を無理矢理過去の出来事にして覆い隠そうとしているのは他でもない日本人だと痛感する。
メディアも政治家も、何もできない国民も恥を知った方がいい。

わたしたちは目で見えるもの、わかりやすいものには大きく反応する。
特に日本人は批判に対する能力は長けている。総選挙関連の発言も批判が大半で、自身の信条を明言して進みたい方向を示すような発言は少ない。もっとも、それが難しいことだというのは肌で感じているけれど。
それでも批判能力に長けている日本人のくせに見えない放射能や溢れる情報に対応できないままなのは、なんて浅はかなんだろうと思わずにはいられない。
放射能が目に見えて、針のように空から絶え間なく降り注いでいたら正気ではいられないだろうに。それなのに何事もなかったかのように日常生活を送るわたしたちは、想像力の欠如と事なかれ主義の究極体なのではないかと思う。

「これは見えない戦争なの。弾もミサイルも見えないけど、そこいらじゅう飛び交っているの、見えない弾が!」

大切な人が一人でもいる人なら、これが最も正常な反応なのかもしれない。
お子を授かった今、わたしは福島には住めないと思うし正直東京がどんだけ安心なのかも怪しいもんだと思う。
日本は大好きだけど、逃げられるならわたしはこの国から逃げたい。



一方で、神楽坂恵演じるいずみは授かった赤ちゃんの命を守るため、目に見えるものに頼っていく。 ガイガーで数値を測り、ビニールで部屋を覆い、宇宙服みたいな防具で外気から身を守る。
先述の通り、大切な人がいる人ならこれが正常な反応なんだろうなと思う。
ただそれは本当に悲しい程微力で、一時的な抵抗でしかない。最後のシーンでは、響き渡るガイガーの音になんて脆いシェルターにすがっているんだろうと心が痛くなる。

国も、個人もこうしてその場しのぎの選択を積み重ねてきた結果がいまです。
わかりやすいものに手を伸ばして安易な安心を得ようとしてきたことは、日本人全員が背負うべき罪だと思います。
たくさんの政党が乱立していて、難しい言葉ばかり並べられていて、特に原発の問題に関しては果たして何人の政治家が理解しきっているのか疑わしい。そうなったらさいこーだよねと思うような綺麗なことばかりを唱える政治家もいるけど、実現できるのかはかなり怪しい。専門家ですら複数論議を展開する問題に対してわたしたちがどこまで正しく消化できるのかは、正直厳しいものがあると思います。
以前にFBでシェアしたムヒカ大統領のスピーチをもう一度シェアします。

リオ会議でもっとも衝撃的なスピーチ:ムヒカ大統領のスピーチ

力が及ばないにしても大切なのはその場限りではなく、根本的に問題と対峙すること。
自分の大切な人が安心して生きていられる世の中とはなんなのかと個々人が考えることだと思います。
「愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。」
わたしは景気が悪くても幸せな子どもを育てることはできると思うけど、放射能が降り注ぐ中で幸せな子どもを育てられるとは思えない。
抑える能力がないのならば、使うべきではない。と当たり前のことを声を大にして言いたい。当たり前のことなのに、忘れ去られていっていると感じるからです。
日本人の心は疲弊していると感じます。
もちろん全ての問題を解決してくれる政党がいたら超ラッキーだけど、そんな政党はいまのとこないように思えます。
人様の決断にどうこう言う権利はないけど、そういう状況で「景気回復」を最も重視する国民が多い現状がわたしは悲しい。
もちろんそれぞれの事情があることは確かなので、わたしが正しいとは決して思ってないけど、希望の国を観て全員が根本的な問題の解決を図るための自分の信条について考えるべきだと思います。
希望があるとしたら、そうした行動の先。
真に豊かに生きることができていると感じられた時だと思います。
ムヒカ大統領のスピーチも読んだらいいと思います。
ついでにこのぞっとする画像を。。。



長くなりましたが、今週の日曜日は選挙にいきましょう!ということで。
わたし選挙権ないけどー!

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希望の国
director:園子温
writer:園子温
cast:夏八木勲、大谷直子、村上淳、神楽坂恵
country:日本
http://www.kibounokuni.jp
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2012-09-30

Short Film 'ROGER' and Life

前回のブログ更新からまさかの半年経過。こんなはずでは。。。
4月頃から急激に忙しくなったのもありますが、人生の変化が目まぐるしくてついていくのに精一杯だったのです。
あれからミュージックビデオを2本作り、ちょっと働いたり、色々な作品をちょこちょこお手伝いしたり、合間に日本に帰ったりしていたら、まさかまさかお子を授かり、帰国が決まり、結婚が決まり。ばたばたとしている中、先日ようやく最後のショートフィルムの制作を終え、一年間通った学校を卒業したところです。うおー目まぐるしい!
現在妊娠5ヶ月。
15日の帰国に向けて、最後のロンドン生活を満喫しているところです。
ようやくこうしてゆっくりする時間ができて心から嬉しい。ビバ安静。

ぽっこりお腹を抱えて乗り越えた最後の作品制作には色んな思いが詰まっています。
検診に行って子供の姿を見る度、正直身体を犠牲にして作品制作に注力することに疑問を抱いたりもしたけど、完成させることができて本当に良かった。
これを完成させなかったらわたしはきっと、自分の留学生活に納得しないまま帰国して幸せな新生活で誤魔化してなんとなく流してしまっていたでしょう。
そんなかっこ悪いまま母にならずに済んで良かった。
学校で6分のショートフィルムつくっただけでなに言ってんだよと思われるかもしれませんが、わたしはやっぱり自分自身が納得していない人生は生きていないのと一緒だと思う。
柔軟に生きていこうと思う反面、24歳のわたしにはまだ曲げたくないというところがあるのも事実です。バランスって難しいね。
しかもだから所詮学生作品なんだけどさ!笑。
まあでもそこは相対ではなく絶対ということで。
とにかくいい一年の締めくくりと、これから始まる新生活に続く一歩になったと思います。支えてもらった多くの方に、心からありがとうを言いたい。ありがとう!

ここまで熱い思いを書いといてなんですが、ショートフィルム自体はフェスティバルに出すか検討中なので公開しません笑。代わりにトレーラーを載っけときます。見てね:D

今回もお話考えて、監督しました。
わたしは監督になりたいと主張し続けてきたから、最後には自然に監督任されるようになった。やりたいことっていうのは人に話しとくもんよね。
まあでもとにかく、んもーーーーーとにかく!!大変だった!
協力してくれた人たちと同じくらいの量の人に邪魔された!
イギリス好きの人たちには申し訳ないけど、とりあえずしばらくイギリスで映画は作りたくないっす。わたしはこの国で作品制作しかしていないと言っても過言ではないので、楽しい部分はほとんど見ていないと思うの。だから、イギリスがだいっきらい!そう、だいっきらいです!!!はーーーーーーーーすっっっっっっきり笑。

この一年間を絶対この先に繋げないとと焦って始めた留学生活だったけど、今はそういう焦燥感がなくなって、なにかしらの形では繋げていくだろうという不思議な自信もあります。母になっても映画つくりたい。
同じ人生の中で映画をつくりたくて、悠策くんと結婚したくて、子供が欲しくて、えそんなに詰め込めるの?っていう焦りもあったけど、いざ妊娠してしまうと良い意味でわたしはここからそれを実行してくのよという覚悟もできました。
人生が変化していけばつくりたいものも変わっていくだろうし、培ったものはなくなることもなくて豊かになっていくことは間違いがないから大丈夫。
しばらく子育てしながら脚本書きためて、ここじゃ!!と思ったときにつくり始められるようにがんばろうと思います。
不安もたくさんあるけど、幸せな人生になる予感しかしない!
たくさんの人に会って味わってきた挫折や達成感や、あほなイギリス人やまじかよっていう海外の珍体験や、色々な経験をおもしろおかしく話してやれる母になりたいと思います。

15日にロンドンを発ち、16日に東京に着きます。
帰ったらぜひ会ってください:)
ショートフィルムはそのうち公開できるといいなー。とりあえずトレーラー見てね。
残り二週間、ストレスフリーなロンドン生活を楽しみまーす!:D

2012-04-17

Terracotta Far East Film Festival 2012


とんとんとんとんとーーーーん!
と音が聞こえるくらいの急展開で参加することになったTerracotta Far East Film Festival。
刺激的すぎる、終始細胞が活性化しているような4日間でした。

Photo by Claire

ただのオーディエンスとして楽しみにしてたこの映画祭でしたが、突然の電話でビデオグラファーのお手伝いをすることになり、ロンドンにアジア映画を届けようと熱い活動を繰り広げるスタッフの方々と素敵な4日間を過ごすことができました。
ロンドンで豊田利晃と園子温が観られるなんて!
まだまだ小さいですが、ここにもマーケットは存在してるのです。
そしてそのマーケットを拡大しようと、ただただアジア映画が好きだ!という想いだけで活動しているイギリス人、アジア人がいます。日本人はいませんでした笑。
この映画祭はにちようび、華やかにその4年目を終えました。


16本のアジア映画、4人のゲスト、3つのマスタークラス、そして監督・役者・スタッフ・オーディエンスが混ざった自由なパーティー!
4年目のフェスティバルとは思えないくらい盛りだくさんなプログラム。
日本からは豊田利晃監督とでんでんさんがゲストとしていらっしゃいました。
ロンドンに来て半年になりますが、学校に映画の趣味が合う子は特にいないし、ましてや邦画を観ている子なんて会ったことなくて。ましてやましてや豊田利晃や園子温を知ってる子なんて。こんな風にイギリス人とアジア映画について話す日が来るなんて期待していなかったので、とにかく嬉しかった。
ロンドンの他の映画祭がどんな感じなのかはわかりませんが、この映画祭は本当に監督・役者・スタッフ・オーディエンスの距離が近い!という印象です。
パーティーではみんなでんでんと写真撮ったりしてました。

Photo by Yabukisan

わたしは中学生の頃に「青い春」を観て以来大好きな豊田さん会えて話せただけで、もうロンドン来てよかったーー!って感じでした笑。
映画祭3日目という体力的にピークな夜でしたが、誘ってもらって飲みにいってへろへろ!正直眠すぎてあんま覚えてませんが笑、幸せだったことだけ覚えてます。
一緒に飲みに連れてってもらった日本人の役者さんたち、フェスティバルプロデューサーさん、どう見ても麻原彰晃にしか見えないチャイニーズのガーフマンもとても愉快な方々で、最高な夜でした。

豊田さんとぱちり!

ガーフマン笑。でんでんさんが彼の顔をとても気に入って、描いた似顔絵が左のやつ。


映画は5本観ました。
中国映画や韓国映画に対するハードルが低くなったのもこの映画祭のおかげです。

My Way
director: Kang Je-kyu
casts: Joe Odagiri, Jang Dong-gun
country: South Korea

ひたすらオダギリジョーがかっこいいだけ!

One Mile Above
director: Du Jiayi
casts: Bryan Chang
country: China

雄大な自然が美しい。中国版Motor Cycle Diariesという感じ。

UFO in Her Eyes
director: Guo Xiaolu
casts: Shi Ke, Udo Kier
country: China

これ!期待してなかった分とても良かった。

Inseparable
director: Dayyan Eng
casts: Daniel Wu, Kevin Spacey
country: China

テンポの良い映画。ディテールが良いという印象。

HIMIZU
director: Sion Sono
casts: Shota Sometani, Fumi Nikaido, Denden
country: Japan

言葉が見つからない。そのうち別でブログ書きます。


こうして見ると中国映画が多かったのか。
というかお手伝いが決まる前からチケット予約して、一人で観に行く気満々で楽しみにしていた豊田監督のモンスターズクラブがまさかの豊田監督インタビュー撮影のせいで観られなかった笑。


Monster's Club
director: Toshiaki Toyoda
casts: Eita, Yosuke Kubozuka, Pyuupiru
country: Japan
日本では今週末公開です。観たい!


ヒミズについてはまた書きますが、心臓が揺さぶられました。
客席はほぼ満席。外人の反応が終始気になりましたが、オーディエンスアワードもとりました。


コクリコ坂からを抜いて一位だったのは内容的には当然だと思いますが、園子温がジブリという強大ブランドを倒したことが嬉しいね!
パーティーでの発表に喜ぶでんでん。

Copyright Kii Studios & Photography



なんだろう。
ここに集まった映画や人、昇華していくエネルギーみたいなものにとにかくやる気をかき立てられた4日間でした。
仕事的にはほんと大したこともできずに申し訳なかったんだけど、マイクとカメラを持ってそれこそ監督・役者・スタッフ・オーディエンスとこの映画祭に携わるすべての人と話す機会があったことが良かった。
撮影した映像たちはわたしをここに呼んでくれたMagnusがそのうち編集してくれると思うので、また載せます。空気が少しでも伝わるといいな。
映画が好きな人、映画をつくりたい人、フェスティバルを主催したい人、この先のロンドン生活できっと一緒になにかをつくり出せる人たちとのたくさんの出会いが、なにより大切な宝物になりました。
あしたからまた、頑張ります:)



2012-04-11

Dr Pepper, A Taste of Life



1月から始まったプロジェクトがようやく終わりましたーーー
約2ヶ月半かけた作品がやっっっっと終わるかと思うと、感慨深いです。
ほんと、やっっっっっっっっっっっとです笑。

この2ヶ月半で、本当にタフになりました。
元々タフじゃんて声が聞こえてくる気がしないでもないですが、自分の人生の中で最もサバイバル力が伸びた2ヶ月半でした。
これは決して目的ではないのですが笑、技術的なことよりなにより、「ロンドンで映像を撮ること」に対する力と自信がつきました。

一回目のミーティングの後、絶望的な状況に打ちひしがれ、革命を起こして自分の信念に基づいた制作をするか、学校のプロジェクトだと割り切って流れに乗っかり自主制作に専念するか、悩んで悩んでそして諦めかけた夜が本当に懐かしい。
同調してくれと言わんばかりに号泣するわたしの訴えに、しっかりしろって言ってくれた悠策くんの叱咤激励に心から感謝しています。
イタリア人とペルシャ人とルーマニア人とサウジアラビア人と日本人のわたしの5人で始めたプロジェクトは、いま放送してるコマーシャルパクろう!っていう方向に本当に最初進みかけたんです。
それは別にアイディアが浮かばないから苦渋の決断...という訳じゃなく、いまのコマーシャルかっこいいじゃーん!っていうノリです笑。
いま冷静になって考えればただのなんも考えてない集団なのですが、様子を伺っていたこの頃のわたしはこの子たちなりに何か考えがあるのかもしれないとか、コマーシャルは結構文化によってもアプローチが違うし、わたしの主張は間違ってるかもしれないとか思ったものです。ほんとかわいそうこの頃の自分。おつ。
そしてなにより、わたしはこの進みかけた話を引っくり返そうと思えるほど、自分の英語力に自信がなかった。
まあ当然いやいやオリジナルのめっちゃ面白いやつ作ればいいじゃんっていうところに落ち着いたわたしは、なぜこのまま進めたくないのかというお話と代案5案のストーリーボードを描いてなぜか自分のグループメンバー相手に大プレゼンをしました。
これがなければ、今頃は抜け殻のように生きていたと思います。
あの日の自分ありがとう。

いちばん最初に載っけたビデオが今回の作品です。
アイディア丸ごと使ってもらえました:)
彼ら好みのプロットを持っていったので、素晴らしい食いつきでした。結果みんな楽しんでくれたみたいで、わたしとしても満足です。
いい雰囲気の中で自分の作りたい作品をつくるっていう目的は達成されたと思います。
もはや面白いのか自分じゃわかんないんだけど笑、どうでしょう?
こっちのブラックコメディー的な感じで考えたつもりなんですが笑。
ドクターペッパーらしい作品がつくりたかったんです。
内容に関しては、普段自分一人じゃ絶対やらないことをやる機会になったので良かったです。と共に、ああ精進せねばと思いました笑。

結局プロジェクト通してプレゼン、プロポーザルの提出、ロケハン、料金交渉、役者集め、小道具集め、スケジューリング、機材準備などなど面倒なことは一切やらない外人たちなので、この時立ち上がらなければ、どうでもいい作品の雑用を一手にわたしが引き受けるはめになっていたということです。おっそろしい.......
ほんとにほんとに、仕事をしない仲間たちにも呆れたけど、せめて自分が本当に作りたいもののために頑張る2ヶ月半になって良かった。
こいつらまじでなんもしません笑。この話はただの愚痴になるのでやめます笑。
とりあえず、最初から最後までで全員集まったのはわたしが革命を起こしたミーティングだけ!待ち合わせしても2人来ればいい方だし、連絡もとれないことばかりでした。仕事を任せるなんて絶対絶対できません。
けどわたしは一通り経験できたので良かった。
臆せず役所に電話して撮影許可もらったり、交渉したりできるようになったことが地味に大きいです笑。英語に自信がついたわけじゃないけど、伝えたいことをうまく伝える術を学べた気がします。
これからのロンドンでの制作に大いに役立つでしょう。
なにも恐れずに一人で動けるようになったことが、このプロジェクト一番の収穫です。


信じられるのは自分だけです。
ずいぶん悲しい聞こえ方になりますが笑、ロンドンで成功している人の多くは結局その人自身が個として才能と行動力とやる気に満ち溢れているということです。
この街では本当に、待っていても何も起きない。
誰かがやってくれることなんて絶対にないと思わないと。
その誰かが自分なんだという自覚が不可欠です。
常に自分が全て請け負うんだという覚悟がないと、予想外の出来事にいちいち怯んでいたら全然前に進めないんです。ほんとに、ほんとにです。

日本に帰ったらまたそれはそれで違う困難に襲われるのだろうけど。
それでも人が時間通りに集まったり、お願いしたことがあがってきたり、そんな当たり前のことにとても幸せを感じて、感謝するようになると思います。
当たり前の積み重ねが信頼を生み、作品を育み、次へと繋がっていくのだと強く思います。
あー日本に帰りたい笑。
でもわたしは、もう少しここでやってやります。
これは当たり前のことをこなせるようになった小さな小さな一歩。
次は制作の面で、でっかい一歩を踏み出せるようにがんばりまーーーーーーす。

2012-04-04

Rotoscope

うおーつかの間の休息という感じです。
きょうはだらけると決めたのですが、あと1時間半でそのきょうも終わってしまいます。
切なし。いろいろと書きたいことはあるのですが、書くのが遅いので。
さくっとこないだまでやってたロトスコーピングの授業について書きたいと思います。

ロトスコーピングとは実写で撮影した被写体の動きをトレースして、アニメーションキャラクターの動きをよりリアルな人間に近づける技術です。
わたしもわかりきっているわけじゃないので、いろいろと間違ってたらごめんなさい。
いまではモーションキャプチャという、実際人間の関節にセンサーを付けて動作を解析・数値化する技法が発達しているので、格闘系・スポーツ系のゲームなんかは主にそっちが使われています。
が、ロトスコーピングの歴史は1919年に既に始まっているのです!びっくり!
当時のロトスコープは当然アナログで、1フレーム毎にトレースしていたようです。
わかりやすい画像があったので拝借。
デジタルでも果てしない作業なのに、全部手書きなんて死んじゃう。
開発者のマックス・フライシャーは1920年代、初期ディズニー唯一のライバル。
フライシャースタジオはロトスコープもさることながら、映画界がトーキーに移行し始める前に音声を付けたアニメーションをリリースしていたりと技術面でのパイオニア的存在だったように思えます。
彼らの代表作の一つが「Betty Boop」。



ディズニーの代表的な女の子キャラクターがミニーマウスだったように、それまでのアニメーションは女性の外見を忠実に描くことはなく、ベティちゃんのセクシーな見た目とダンスは当時とてもセンセーショナルだったようです。
彼女の柔らかい女性的なアニメーションはロトスコープあっての技。
音楽に合わせて踊るモデルを実写で撮影するので、音と動きも綺麗にシンクロしてますねー。
ちなみにベティは1934年にアメリカで導入されたヘイズ規制(商業映画の道徳規制)で露出を制限されたり、配給元のパラマウントからディズニーを模倣するよう指示されたり、その本来のキャラクターを喪失していかざるをえなくなったそう。
映画はいつの時代も不本意な敵に振り回されている感じがするよねえ。

まあ結局ロトスコープも世界的に認知されるようになったのは1937年の「白雪姫」から。さすが天下のディズニー!
アニメーションはまだ当時子ども向けの短い作品が多かったところを、ディズニー自身初の長編アニメーションに踏み切ったわけです。そしてそのほぼ全てがロトスコープを使ったトレース!果てしない〜!



おそらく当時も24fpsなのかな?83分で約12万枚くらい?ひゃっほー!
実写撮影の様子がこちら。



白雪姫の指の先まで神経がゆき通ったような動作はこのモデルから生まれているのね。
結局いいものをつくる近道なんてないということか〜と思っていたら、面白い記事を発見したので引用させて頂きます。

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〜〜〜「ロトスコープ」というものの考え方自身がその価値観をよく表している。
現実に存在しないものをリアルに見せようとする根性はSFXにも通じるアメリカ独特のものかもしれない。

これに対して日本のTVアニメは1秒間に8枚しか使えないリミテッドアニメだ。
ディズニーのアニメーションが1秒間に24枚なのと比べて、どうしてもカタカタカタカタと不自然な動きになる。動きをリアルに、とかロトスコープとか以前の問題だ。
もともと日本のTVアニメは、昔は「TVマンガ」と言われていた。少年誌に連載されているマンガをTVで動かします、が目的の作品だ。
当然、制作現場への注文も「リアル」よりもマンガの絵をそのイメージのまま動かすことに重点が置かれた。
マンガの絵はデッサンとは違う。たとえば、人間の顔は必ず斜め右か斜め左のいちばんかっこいい角度からかっこよくデフォルメして描く。決して中途半端な角度から描いたり、真正面から描いたりはしない。
そのかっこいい斜め右向きの顔から、斜め左向き顔までをできるだけ変にならないようにつなぐのがTVアニメの課題になった。
鉄腕アトムの角がどっちを向いても必ず二つ見えていて、決して重ならないのは有名な話だが、これも同じポリシーに基づいている。
日本のアニメはアメリカのように立体物を想定して、それを正確に動かそうとする方式とは正反対なのだ。
このアメリカと日本のアニメーションに対する考え方の差は、スローモーションで見ることによって、具体的にはっきりわかる。コマ送り、という家庭用ビデオの進歩がそれを可能にした。
たとえば、重いものを持ち上げるシーン。
アメリカのアニメーションなら、実際に人間が重いものを持つとき、どんなポーズをとっているのか、1/24秒ごとに把握する。
膝の角度と開き方の関係は?踵はどの位置まで持ち上がっているか?どの筋肉を使い、どれぐらい膨らむか?
ロトスコープまでしなくても、こういった解剖学的な正確さが重要になる。
それに比べ、日本のアニメは違う。
持ち上げようとするとすぐには持ち上がらない。この、持ち上げようとしたまま止まっている1秒ほどの描写が「重い」を表現している。そのあとゆっくり持ち上げる。途中で止めたりすると、いかにも重い感じがする。
アメリカのアニメーションがとにかく「動き」を表現するのに対し、日本アニメは「止め」で表現する。西洋の演劇が「バレエ」という動の文化に進化していくのに対し、日本の演劇は「能」という静の文化に進化していった。国民性とも言えるかもしれない。

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もちろん日本のアニメが近道してる!なんて絶対に思わないけど、見せ方の差は明らかだよね。おもしろいねえー。


最後にわたしが学校のエクササイズでちらっとつくったロトスコープのっけます。
わたしたちはアニメーションはつくらないから、マスキングして合成する練習。
ベティと白雪姫の後にこんなふざけたもんのっけてごめんなさい笑。
出演はおともだちのえしぇるちゃんです。
来週からミュージックビデオのプロジェクトが始まります。
学校外でもいくつかミュージックビデオをつくる予定。
えしぇるちゃんに不満を言うわけではないですが笑、ちゃんとした作品をつくる際には身体を使える人に出演してほしいね笑。
いよいよイギリスでダンサーの知り合いがほしくなってきた!日本ならいっぱいいるのになーあ。

2012-03-09

MIOinLONDON2

MIOinLONDON2! 12/03/01-04

さあこんなに早くパート2を書く日が来るなんて!
美音とのロンドントリップはもはや安定感すらある感じがするね。
ひょっとしてパート3もあるんじゃないかなー?と期待しちゃいます。
エジンバラ旅行は日程が合わず断念しましたが、たまたま謎の連休があったわたしはツーリスト美音とちゃっかりたっぷりホリデーinロンドンを楽しんじゃいました!
忘れないうちに、ざーーーーっと綴っておきまーーーす。


<MUSICAL:SINGIN' IN THE RAIN>

MIOinLONDON2はミュージカルで派手に幕開け!
2月に始まったばかりのSingin' in the rainは満席でしたー!
2階のGrand Circleは雨には降られませんでしたが、Stallの人たちはきっとびっちょびちょ!
雨の降る中、華麗に唄って踊るDonの姿にはほんとに胸が踊りました!
彼の脚が水を蹴った後に残る美しい軌跡さえ、音に合わせて唄っているよう!
他のミュージカルたちに比べると演出は少し地味かなとは思いますが、おはなしとキャラクターが引き立っていて、また別の魅力があります。
なにより水たまりを蹴って踊っちゃおう!っていう感じが誰もを童心に戻して、わくわくさせちゃうと思う!
終わった後にモップをかけるおにいさんたちがシュール笑。
どうせならお掃除も演出の一環にして遊びながら楽しくやっちゃえばいいのにー


そしてロンドンミュージカルは休憩時間にアイスを食べるのが定番。
売り子のおねいさんの元へ走ります。劇場で食べるアイスは一味違う!
すっかりロンドンミュージカルの楽しみ方を身につけております。


<WINDSOR CASTLE>
二日目は一日かけて、ウィンザー・ストーンヘンジ・バースを回るツアーにいきました!
美音が予約してくれたEvan Evansという英語のバスツアーです。
わたしたちのツアーガイドは陽気なジョン!
終始テンション高くて眠いときはちょっとうるさかったけど、絶えず色んな小ネタや豆知識を披露してくれて、前回の片桐はいり似のなんの役にもたたない日本人エセツアーガイドが添乗していたコッツウォルズツアーに比べたら、天と地の差でした!!
英語がわかる人にはオススメですーまあガイドさんによっては結構ひどいときもあるみたいだけど...ジョンは当たり◎
ジョンいわく、このツアーはタイムマシーンツアーだそうで。
ウィンザー900年前、バース2000年前、ストーンヘンジ5000年前と、たしかに時空を飛び越えた素敵ないちにちでした:)
そんな感じでロンドンから約一時間、バスに揺られまずはウィンザー城へ!


とりあえず...ものすごい霧でした笑
バスが止まって、「ここがウィンザーだよ!」と言われても何も見えなくて苦笑 笑。
まあそんな天気もジョンに言わせれば、「うぅ〜!シャーロックホームズが出てきそうだね!」というような感じです。
たしかにウィンザー城を囲む霧はなにか物語が生まれそうな空気を演出していて、中途半端な曇りよりも全然素敵でした。


ウィンザー城は1089年、ウィリアム一世が建設を始めたお城。
それから色んな時代に色んな王様が改修増築を繰り返して、今では人の住むお城としては世界でいちばん大きいものだそうです。
平日はバッキンガム宮殿で公務を行うエリザベス女王ですが、週末のお休みはウィンザー城で過ごされます。
女王が滞在されている時は女王旗が、されていない時は英国旗が掲げられます。
まじで霧でなんっも見えなかったけど、この日は女王旗が掲げられていて、女王がいらっしゃったそうです。
いちいちいるよ〜!つって危なくないのかしら...と思う。
ちなみにジョン情報によると、バッキンガム宮殿は1982年にMichael Faganという酔っ払いに侵入されたそうな。Michaelはお城のチェダーチーズやワインを食した後、なんとエリザベス女王の寝室に侵入。
侵入してきた男に毅然とした態度で"May I help you?"と声を掛ける女王。
それに対して、"Yes, I want a cigarette"とマイケル。ふてぶてしいマイケル!
女王はメイドに電話でタバコを頼むけど、女王がタバコを吸わないことを知っているメイドは緊急事態と判断して、警察を呼んだそうです。
簡単に侵入を許した甘い警備に激怒した女王は、雇っていた警備員(この日勤務じゃなかった人も)を全員解雇!
おまけに塀の上のイガイガをちょっぴり高くしたそうだよ笑。
これはバッキンガム宮殿のおはなしだけど、ウィンザー城もこんな露骨にいるよ〜!って言ってたら危ない気がするよね!

ウィンザー城は、普段はState Apartment(美術品がひたすらたくさん飾られてるはず)・St George's Chapel・Queen Mary's Doll House・The Drawing Galleryとほんとに観るところがたくさんなのですが、この日は運悪くいちばんでっかいはずのState Apartmentが行事で封鎖されていました。しょぼん。
入れないとこのしゃしん。


Doll Houseは金持ちの道楽〜〜〜!!!って感じ!
でっかいおうちに飾られるミニチュアたちは女心をくすぐります。
これきっとほんものの大理石だよね...とか金だよね...とか費用のことばかり気になるわたしたち笑。トイレはほんとに流れるそうだよ!まじかよ笑。
メアリーさんの人形好きは有名らしく、各国のえらい人たちからプレゼントされた特注お人形さん用ドレスなども展示されていました。おそろしやロイヤル。

Drawing Galleryはエリザベス女王の60周年を記念して、60枚のポートレート展示でした。
いまでこそかわいらしいおばあちゃんという感じですが、昔はほんとに美人さん。
ロイヤルの生活が垣間見えて面白いです。これは今年の10月まで。
ちなみにイギリスは今年、この60周年に合わせて色々と商品展開しているみたい。
Fortnum and Masonの紅茶も60周年仕様です。

St George's Chapelに向かっていたら、急に聴こえてきた陽気な音楽たち!
ちょうど衛兵交代の時間に遭遇したのです:) ラッキー!
バッキンガム宮殿よりも距離が近くて、派手という噂のウィンザー衛兵交代。


実はこの前に見回り中の衛兵とすれ違ったのですが、こっちは威厳がすごかったです。


装着しているブーツの音が霧の中に響いて、掛け声も交わって、けっこう怖かった!
それに比べたらラッパ吹いて太鼓叩く衛兵たちはかわいらしくて愛らしかったです。
音楽に合わせて位置を変えたり行進したりする姿は、前回Whitehallでみた騎兵交代とはまた違ってちょっとパレードみたいでたのしかったー:)
彼らはそのままお城を出て、城下町の方へ行進するみたいなのでそっちで待ち伏せしても面白いかも。
肝心のバッキンガム宮殿みたことないからなんとも言えないけど、ウィンザーの衛兵交代は見応えありです!オススメ◎
衛兵交代に見入ってたらSt George's Chapelを見る時間なくなっちゃった笑。
これがツアーの痛いとこだね。
「集合に遅れたら置いてくぞ!俺は一年前6人のメキシカンをバースに置いてきた!」とジョンが豪語するものだから、さーーーーっとチャペルをほぼスルーして、いそいそとバスへ戻り、念願のストーンヘンジへ!


<STONEHENGE>

ロンドン留学が決まってから、ストーンヘンジへはいついこうと考えていました。
ここで夏至の日の出をみるのは、わたしの夢のひとつです。
ちなみに気球に乗ってカッパドキアの大地を見下ろすこと、アルジェリアの要塞都市ムザブの谷の街をみることも夢です。
残念ながら夏至までにはまだ少し時間がありますが、それでもこの土地からは十分すぎる不思議なパワーを感じました。

ああー250件の火葬が行われた巨大な墓石群だとか、高度な天文学を扱う民族の観測所だとか、大量な陶器や動物の骨が見つかったことから大規模な冬至のお祭りが行われていたとか、ドルイド教徒の礼拝堂だとか、本当に様々な研究に基づく仮説が挙げられていますね。
が、依然そのすべては謎に包まれたまま!
この巨大な石たちをどんな方法で運んだのかも解明されていませんが、ジョンは「それでもここでなければいけない理由が絶対にあったんだ!わざわざこの場所に石を運ばなければなかった理由が!大切なのはここだということだ!」と興奮しながらしゃべっていたので、わたしのトキメキは最高潮でした。

悲しかったのは、サークルの中には普段入れないということ...石に触れることもできず、ただただ周りを歩くしかないのです。もっと近いと思ってたからショックだったなーー。
ま、でもそれは夏至の日の出をみにきたときのお楽しみということで。

ああ。ほんとうにときめく。
わたしの生きている間に謎は解明されるのかな。
つくったひとたちは天体でも地上でも、この場所が世界の中心だと思っていたと考えられているそうだよ。
そういうたくさんの人の強い思いは、この土地に根付いていると思う。
だって。この地から感じるこのパワーはなに?
ううーーーーーロマンだよロマンーーーーーーーーーーー素敵すぎる!
またぜったいに戻ってくるとおもいます。はあ。ありがとうストーンヘンジ。




<BATH>

旅の最後は古代ローマのお風呂が残る、世界遺産の街バースです。
ロンドンからは2時間半くらい。ここまで来るとちょっとやっぱ遠いね。
ローマ風呂といったらテルマエロマエでしょう。あのなんの展開もないマンガはいつまで続くんでしょう笑。といいつつ読んでます。
Roman Bathはいまも毎日お湯が出ているお風呂(入れないけど)と博物館がくっついた施設です。
思ったよりけっこーーう広くて、こんだけ熱烈なお風呂の歴史を見るとテルマエを馬鹿にしてごめんなさいという気持ちになりました。
やテルマエはまぁいいんだけど、ローマ人はほんとーーーーに日本人と同じくらい風呂が好きだったんだね!!!というある種の仲間意識が生まれてきます笑。


65年に建設されたローマンバースは、その当時お風呂としてだけでなく運動をしたり、ゲームをしたり、ひょっとして銭湯よりもポテンシャルが高いんじゃないかと思われる懐の広い社交場としてローマ人に愛されていました。
ただの娯楽施設としては贅沢すぎる高度な技術が活かされ、既に床下暖房やスチームバス、マッサージルームなども完備されていたそうで、ローマ人のお風呂に対する情熱が感じられますね。
そしてそこはながーい歴史を越えて、いまもまいにち46℃のお湯が1,106,400リットル噴き出しています。


立派な神殿や女神の像が多く見られるのは、ローマ人よりも前にこの地表から湧き出るお湯を発見していたケルト人が、そこを女神スリスの住処であるとしたことから始まるそうです。
テルマエでもやたら女神とか銅像とかにこだわってたなあと思い出して笑ってしまった。


どうせお風呂に入るのなら素敵な景色で極楽な感じで入りたいもんね!
バースにはイギリス唯一のちゃんと入れる温泉施設もあります。
バースは街そのものが世界遺産に登録されているくらい美しい街なので、露天風呂の眺めが最高だそうですよ。
その名もテルマエバーススパです。ぬるいと有名です笑。

ローマンバースのすぐ隣にはバースアビーという名前のチャペルが。


壁の80%が窓とステンドグラスで囲まれていて、「イングランド西部の灯火」と呼ばれてるらしい。おしゃんてぃー。


ステンドガラスの画は旧約聖書のエピソードを描いたものだそうです。
わたし一応6年間キリスト教の学校だったんだけど、いっこもわかんない笑。みんなわかるのかな。


ジョンが去年置き去りにした6人のメキシカンには遭遇しませんでした笑。
時間もなくなったので、アビーはちょっと早足で終わり。
バースはほんとに素敵な街並だったので、ぜひまたもう一度ゆっくり来たいです。
ニコラスケイジがおうちを持っているらしいあたりがとてもとても素敵でした。
坂の多い街は美しさが増すね。


こんな感じで超特急のツアーは帰路へ。
朝5時起きだったので、ロンドンまでは爆睡!
ビクトリア発でしたが、帰りは好きなとこで降ろしてくれるという自由な嬉しい感じ!
グロスターロードで降りて、美音ご所望のペリペリチキンを食べて帰りましたーーーん。
遠くに車なしで旅をするのは結構大変なので、郊外をまわる際にはEvan Evansつかってみてもいいと思います◎
できるならジョン指名で!笑
まわしもんみたいになったけど、二日目はこれで終わりーーおなかいっぱい!:)



<BOROUGH MARKET>
3日目は土曜日だったので、マーケット巡りをしました!
エンジェルのカムデンパッセージマーケット、前回も行ったボローマーケット、東のブリックレーンなど。
ブリックレーンはマーケット日曜なので、古着さん回っただけだけど!

やーーーーーーロンドンに来た人を絶対に連れて行きたい!ってとこなんてないなーって思ってたけど、ボローマーケットはぜひ連れていってあげたい!
多国籍なロンドンならではの食マーケット!
美音はほんとにボローの虜です笑。

入ってすぐににおいにつられて買ってしまった巨大なサンドイッチ!
ハルミチーズ(はんぺんみたいなやつ)が美味!!!

前回きたときからものすごい色してて気になってたスムージー。
写真のこたちは普通だけど、真緑のぐろいスムージーとかあります。
わたしはチャレンジせず笑。ふつうのスムージー!美味!!!!

いろんなとこに出てた旬の野菜。
なまえ忘れちゃった!なんだっけ。色が綺麗。

美音の買ったランチボックス。
中身がいろいろ選べるやつ。中東系のお惣菜ですね。ピタがついてきておいしそう!

そして前回と同じくMonmouthのまっじっでうまいコーヒーを頂いて出ました。
ここよりおいしいコーヒー飲んだことないですわたし。うまーーーーーいッ
んーーーーーほんとにほんとにおなかいっぱいッッ笑



それからちょこちょこお買い物したりお散歩したり、楽しい4日間はほんとすぐ終わってしまいました。
空港にお迎えに行ってからお見送りに行くまで、早すぎてびっくり。
なんか結局今回初めて誰かをヒースロー空港に迎えにいったんだけど、Arrivalでそわそわするのっていいもんだね。
美音の飛行機は着陸してからちょっと時間がかかったので、待ってる間たくさんの再会の場を目にしました。
恋人たちやおじいちゃんとおばあちゃん、小さい子どもがパパを迎えたり、左右の扉から荷物を持って歩いてくる人影をきょろきょろ追うたくさんの人たちの後ろ姿を見ていたら、なんだか泣きそうになっちゃった。
Arrivalの空間自体が高揚していく感じが、なんか...たまらんね。
誰も意識してないのに、「大切な人を待つ」っていう行動を通して同じ方向に昇華していく感じがうわーーーーってなった。
ほんとに語彙が乏しくてごめんなさい笑。でもそんな感じです。

みんなと離れてロンドンで住むってのもいいもんだなとちょっと思うようになってきた。
たぶんロンドンに住んでなかったら美音とこんなふうに旅行するのも難しかっただろうし、Arrivalでそわそわすることもなかったでしょう。大切な時間が増えたなあと感じます。
日本にいるみんなはそれぞれ忙しいと思うけど、ぜひぜひ遊びにきてください。
ヒースローまでお迎えにいきます:)

ほんとに素敵な時間をありがとうーーーー学生はおとなしく学業へ戻ります。
大切な人との時間を通して、この地をどんどん好きになっていく!
なんて幸せなことでしょう。
つぎはだれとどこにいけるかな!<3

最初の写真のスムージーから現れた、まさかの胴体付きのキリンたち

2012-02-28

SAE London

10月からSAE Londonという学校に通っています。
最近おしゃれ化してきているという噂のロンドン東側Haggerstonというとこにある校舎は、めっちゃ小さい縦長のただのビルです。
教室がいくつかと、レコーディングスタジオがいくつかと、グリーンスクリーンと、ほんと小さな小さな学校です。
わたしのクラスはたまたまとても人数が多いらしく、30人くらいいます。
が、平均は10人程度。小さい!
人数が多かったのは色んな人としゃべれて良かったなーと思いますが、女の子は3人。
毎日くさい男の子たちに囲まれて授業受けるの結構しんどいです笑。

半分より多いくらいがイギリス人。残りは結構多国籍です。
1月から一緒に制作してるグループはイタリア人、ルーマニア人、ペルシャ人、サウジアラビア人とわたし。
いちばん仲良くしてるのはアメリカ人の女の子とコロンビア人のジェントルマン。
最近ようやくまんべんなくみんなと話すようになったけど、イギリス人の冷たさに最初は心折れました。
彼らは英語のできない人たちと話すことに慣れてないから、わたしがちょっとでもつっかかると聞いてくれないし、かぶせてしゃべってくる。ほんとに話したいことはばーーーーっと言っちゃわないと、受け入れられません。
イギリス人は現地の高校卒業したての子が多いので、必然的に若くなるのも理由かも。
思ったよりも全体の年齢は若いです。私より上なのは8人くらいかな?
下は17歳、上は50歳。40代も2人、30代も2人。ま、みんな見た目は年齢不詳ですが。
現地の子達はなんとなく映画かっちょいー☆みたいなテンションで入ってるので、ハリウッド!!みたいな作品がお好み。
アクション系やゾンビ系など。正直、映画の趣味は全く合いません。
までも自分一人じゃ絶対つくらないようなものをつくるきっかけにはなるのでいいかなーと思ってます。
今はブラックコメディーっぽい感じのコマーシャルをつくってます。楽しいです。

コースはFilmmakingというおおざっぱな感じです。
わたしは監督志望の人が多いのかなと思っていたけど、定まってない人がほとんど。
実際授業も脚本、演出、撮影、照明、音響、編集と全体的に色々やるのでこれから専門分野を絞っていく人も多いみたい。
基本的には一人で映画をつくれるようになることが目的のコースです。
つって、本気のやつが果たして何人いるのかは疑問。
スローで自由なロンドンでは、うちの学校に限らず意志を強くもたないと流されて終了です。
授業に全然こないやつも結構いるし、来てもなーんもしてないやつもたくさんいます。
午前の授業に二人しかいないこともありました。ほんと、ふざけています。
のわりにプライドが高くて、成績はとりたがりです。ほんと、ほんと、よくわからん。

学校もだいぶ適当でこまったちゃんですが、実践的ではあるのかなと思います。
毎日の授業の他に、モジュール毎に授業外の時間で制作した作品を1つ提出します。
一年は4モジュールに分かれていて、それぞれVisualNarrative(静止画を編集した1分作品)・コマーシャル・ミュージックビデオ・ショートフィルムを制作して提出します。
授業内でもエクササイズ的に作品を撮ったりします。
最初のVisual Narrative以外はすべてグループワークです。これが.....ほんとにしんどい。
このしんどさについて語り始めたらものすごい量になりそうだし、爆発しそうなのでやめときますが、毎日ほんと孤軍奮闘という感じです。
人生の色んなタイミングで色んな人たちと色んな役割で作品をつくってきたけど、こんなに辛くて大変なことなかったです。
が、これを全て乗り越えたときにわたしは最強の女になって帰国できると思うので、とにかく今は全てが自分の力になると信じて突き進んでいます。
成長期の男子のごとく、毎日成長している音が聞こえてくるくらい自分が変化していくのもわかります。
目指せ、鋼鉄の女!!!という感じです。


これからちょいちょい学校のことアップしてこーとおもいます:)
もう少ししたら作品もアップします。
ちなみにうちの学校はプライベートスクールっぽい感じなので、全然日本のエージェンシーに登録されてません。自力で探して、資料請求して受験しました。
もし、もしもしですが、困ってる人がいたらご協力します笑。情報がなさすぎて、受験するのすごく大変だったから...
他の映画学校行ったことないからわからないけど、そーんなに悪くはないんじゃないかなって思いますうちの学校。

グリーンスクリーン!

演出の授業。目を閉じながら歩いて、五感を研ぎ澄まそう!的な感じ笑。

照明の授業。スリーポイントライティング!

ドリーの試験。三脚とカメラを固定して、平行に移動するあれです。

2012-02-10

[FILM]LONDON CINEMA

無職の学生は、なるべく家で映画を観るようにしています。
プロジェクターで真っ白の壁にうつして観てるのでそれなりですが、やっぱり映画は映画館で観るものだよね。
真っ暗な空間で、爆音で観る映画は格別。
そしてその時間をたくさんの人と共有しているかと思うと、それもまたいいよね。
映画はひとりでも楽しめるけど、知ってる人や知らない人と楽しんだ方がずっと心に刻まれる感じがして良いです。
芸術も文化も歴史も人も、それ単体で楽しむよりも、自分にしかできない方法でタイミングで繋げて呑み込む方がずっと楽しい。
ロンドンではそんなに多くの映画館に行ってるわけじゃないけど、良かったな〜と思うのをいくつかご紹介します。


2012/02/03 「The Artist」@Coronet Cinema
ノッティングヒルのコロネシネマは1898年に劇場としてオープンした老舗の映画館です。
駅を出てすぐに目に入る美しい外観は、まさにノッティングヒルの象徴!
1923年に劇場としての働きを終えて、完全に映画館として営業をするようになってからも内装はそのまま残したんだって。

座席の構成も劇場そのまま!もはや映画を観に来たのかなんなのかわかんなくなりそうだよね。
お値段もリーズナブルで、なんと火曜日は£3.5で観れちゃう!
いまは外壁の工事中でばさーっと隠れちゃってるから、写真はオフィシャルサイトから。
雰囲気のある映画館で、訪れるだけでほんのり心が満たされます。
わたしはここで、「The Artist」を観ました。
先日ゴールデングローブ賞をとったモノクロ&サイレントのフランス映画です。
無声映画からトーキーへと時代が移り変わって行く中で、葛藤する無声映画俳優のおはなし。
シンプルで素敵な映画でした。
時代が動いているときってたくさんの興奮や哀愁が入り交じっていて、それだけで美しい。
正直モノクロ&サイレントの目新しさが大分騒がれている要因になっているんじゃないかと思ったけど、クラシカルなスタイルはやっぱ普遍的に人の心をつかむよね。
変化に逆行して残っていくもの、人、スタイルっていうのは相応の理由があるよなと、コロネシネマでモノクロ&サイレントのアーティストに描かれた時代に翻弄される人間を観て思いました。
日本では4月公開だそうです。映画館で観た方がよい映画だとおもいまーす!お時間あればぜひ。


2012/02/09 「Salome」@Southbank Centre Queen Elizabeth Hall
Southbank Centreはテムズ川沿いにある映画やコンサートやダンスや詩など幅広く芸術を扱う複合施設です。
ロンドン初映画で、ロンドン映画祭の作品を観に来たのもここでした。
今度のロケ地もここの管轄の教会で、これからも色々とお世話になりそうな予感。
こんなに大々的な芸術支援施設って日本にあるのかなー。さすがロンドンと思いました。

Salomeは聖書などに登場するパレスチナの領主ヘロデの娘サロメを元にして描いた、1923年のモノクロ&サイレント映画。
今回Southbank Centreでは、この映画に音楽の生演奏をつけて上映していました。
真ん中にスクリーンがあって、四方に楽器スペースが設置されてます。
ドラム、タンバリン、カスタネット、ジャンベ、チベットのシンギングボウルなどの楽器でエキゾチックな感じの音をイケメンたちが奏でます。
劇場に入った瞬間にお香のにおいもして、なんだかすごく五感を刺激される空間でした。
映画自体もアメリカ映画の芸術レベルを向上させたいと美術監督・衣装デザイナーのNatacha Rambovaが手掛けた作品だけあって、モノクロなのに目を引くセットや衣装がすごく印象的。

サロメの頭やばい笑。きらきら。

この衣装すごく綺麗だった!モノクロに映えるよね。

この幅広コートも渋めでよかったです。

最後は孔雀ヘッド!んーーー衣装メインといっても過言ではない!
約90年たった今でも映画そのものに十分見応えがあるし、それに音楽とニオイをつけてやっちゃおうっていうのは素晴らしい心意気だと思います。
戯曲さの残る映画なので、映像に生演奏が付け足されたというよりも、生演奏が映像のナマモノ要素を引き出しているように見えました。

んー贅沢な時間でした。これがなんと£6!
ロンドンアートの一番のすごさはその値段ではないかしらと本気で思う。
それにしても、こんな風に映画を観せてくれるところが当たり前のように存在しているなんて!
五感で作品を楽しむ場所を提供するというのはわたしの夢です。
ロンドンに先を越されつつあります。がんばらな!


2011/10/14 「Shaun of the Dead」@Gallery Cafe
最後はロンドン来たばかりの頃に行ったベスナルグリーンのギャラリーカフェ!
毎月テーマを設けて、毎木曜日に上映会をしています。
10月のテーマはハロウィンで、会場もなんとなくハロウィンな空気。
カフェスペースの奥の扉から外にでて、庭っぽいところを越えてまた扉に入ると会場の教会にたどり着きます。
なんだか秘密基地っぽい感じですでに楽しい。
フリーのポップコーンと、カフェで頼んだホットチョコレートを飲みながら上映開始。
ソファや椅子がランダムに並べられて、周りからたくさん笑い声が聞こえる感じがホームシアターっぽくていい:)
終わったあとには映画のクイズ大会!観てればわかる簡単な問題ばかりだけど、勝ったグループにはシャンパンが!
手作りの登場キャラクターの名札が配られたりして、とてもアットホーム。
こちら名札をつけてポップコーンを食べるあやのさんちのくわみさん。
ロンドン来たばかりでこんなふうに映画を観られてとっても励まされたし、そうそう映画ってこんな感じに観るものよね〜!と思いました。
知らない人たちとだけど、みんなでごろごろ観る映画楽しかったな。
ギャラリーカフェはごはんもおいしいし、一人で長居しやすいので大好きです。
ミニライブみたいなのもやってるみたいだし、映画も毎週やってるし、そのうちまたふらっと行こうと思います。


ロンドンに来て約5ヶ月。
少しずつお気に入りの場所が増えてきていて幸せです。
最近は雪が降ったり積もったり、暗くて寒くて大変だけど。
はやく春になって外でごろごろしたりできるといいなーん。
日本も寒そうだけど。みなさんお元気ですかー?:)